県内における地域間の格差が生じたことについては、さまざまな要因があると考えられます。私はその要因の一つは、何といっても
交通アクセスの条件が挙げられると思います。
例えば、
幹線ネットワークである道路について見ると、鳥栖市や佐賀市、多久市、武雄市などは
九州横断自動車道の
インターチェンジが存在し、現在
インターチェンジのない唐津市や伊万里市においても、
西九州自動車道の整備促進により、唐津市は平成十七年度に浜玉-唐津間の開通が予定されているほか、
唐津伊万里道路も
唐津-北波多間で用地買収が進むなど、
インターチェンジの開設に向けての見通しが確実なものになっておると聞き及んでおります。
また、一般国道の整備についても、例えば、国道三十四号のバイパス化や国道四百九十八号の整備進展など基幹道路の整備が進捗している一方で、鹿島市では、国道二〇七号バイパスは現在事業が進展しているものの、その全面開通はやっと本年度の予定となっており、地域住民の生活や産業、交流を支える基盤整備が立ちおくれていると思います。
こうした
交通アクセスに関する地域格差を一日も早く埋め、地域を支える社会基盤としての道路整備を促進されることが待たれるところであります。
このように、佐賀県南部の藤津・鹿島地区は多良岳山脈の地形的制約もあって、
九州横断自動車道など既存の高速交通網から外れており、高速道路への強い渇望があります。
当該地域では、この地域での
高速交通体系の整備について、これまでも商工会議所を初め、鹿島市や太良町や期成会や
自由民主党鹿島支部などによる要望活動を長年にわたって行ってきたところでありますが、なかなか結果としてあらわれず、その展望が開けていないように思います。
特に近年では、国、地方の厳しい財政事情を反映し、公共事業の削減を当然視する世論がありますが、一方では、鹿島市のようにやっと事業着手の順番が回ってくる地域もあり、地域の将来的な発展を図る上でも、また公平性の観点からも、こうした整備の促進を図ることは考慮されていかなければならないと思います。
九月の本会議の議案の中に、
九州北部広域ネットワーク効果調査費が上程されておりますが、整備速度の加速を図るものと期待をいたしておるところであります。
そこで、ぜひ太良町を含めた鹿島市の悲願でもある
有明海沿岸道路と
九州横断自動車道への
アクセス道路の二つの道路の早期開通に向けて、県としても英断を下すべきであると思いますが、そうした観点から、次の二点についてお伺いしたいと思います。
まず第一点は、
有明海沿岸道路の整備促進についてであります。
二十二日の石倉議員の一般質問とやや重複する点があるとは思いますが、再度御返答をお願いします。
この道路については、既に鹿島市までの計画路線の指定がなされていると聞き及んでおります。そこで、県南部方面の佐賀市から鹿島市までの事業計画について、現在の進捗状況がどうなっているのか、また、整備に要する費用や完成に要する期間がどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
さらに、この道路は単に県南部のアクセスの向上に資するばかりでなく、福岡県や長崎県など有明海をともに抱く地域の交流を促進し、佐賀空港の
位置エネルギーを押し上げ、利便性を向上させ、地域の一体的発展に大きく寄与するものと考えられます。そのような意味でも、太良町や諫早地域からも
有明海沿岸道路の延伸を望む声の根強いものがありますが、鹿島市から長崎県側への延伸について、県はどのように考えておられるのかお尋ねしたいと思います。
次に第二点は、
九州横断自動車道の
アクセス道路の整備促進に関することであります。
平成二年に
九州横断自動車道の全線開通を見て以来、久しい今日でありますが、
インターチェンジまでの距離や所要時間を見ても、鹿島・太良地域への波及効果が薄いのではないかと思います。観光などによる地域の振興を図るためにも、広域的な範囲から当地域へのアクセスの向上が必要であります。
現在は地域づくりの活動団体などが
鹿島ガタリンピックを初め、
まちおこし事業を計画しても、なかなか周辺に成果が波及せず、地域資源が十分に生かされていない状況であります。
そのような意味で、
九州横断自動車道から鹿島・太良地域を規格の高い道路で結ぶことが極めて重要なことではないかと考えます。
そこで、
九州横断自動車道への
アクセス道路整備について、どのように考えておられるのかお尋ねしたいと思います。
三点目は、鹿島・太良地域の振興方策についてであります。
今申し上げましたように、鹿島・太良地域は
交通アクセスが弱いこともあり、その潜在力を十分に発揮しているとは言いがたいようであります。しかしながら、この地域は有明海に面し、背後には多良岳山系が連なるなど、海、山の資源に恵まれ、他の地域にもまさる潜在力を有していると考えます。また、この地域は
農漁業従事者が多く、私はこうした自然の特性や農漁業が盛んであるという特徴を生かして、グリーン・ツーリズムやエコツーリズムなど、現在脚光を浴びているものの条件に適しているのではないかと考えます。
県においては、昭和六十一年八月に
名護屋城博物館、
佐賀城址博物館とともに、佐賀県三大観光拠点の一つとして
有明海干潟公園計画が発表され、平成三年十一月に「有明ひがた
マリンピア構想」が打ち出され、平成四年六月には、その候補地として鹿島市が最適であると報告されておりました。また、佐賀県において設置された佐賀県
西部振興プロジェクトチームの報告にも、鹿島市や周辺自治体の地域浮揚を図るためには干潟公園の整備が急務であると指摘されています。
今日的には大規模なテーマパークやレジャーランド的な発想のものは再考すべきであると思いますが、自然を初めとする観光資源を生かしながら、都市部と地域の交流を推進する仕掛けは必要と考えます。特に今、有明海の再生を願う本県にとって、有明海の干潟とその海を肌で感じてもらい、その大切さ、環境の大切さを訴え、日本じゅうはもとより、世界じゅうへ情報発信できる仕掛けが必要であります。県の平成十二年度佐賀県総合計画の中にも、そのことが述べられております。
そこで、野外環境教室といった新しい構想のもと、「有明ひがた
ニューマリンピア構想」とも言うべきものとして再出発を期すべきと思いますが、このことを含めて、魅力ある資源を抱える太良・鹿島地域の今後の振興方向や方策について、県はどのようにお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
二つ目の大きな質問に移ります。
県南部の重度障害児に対する支援についてであります。
まず、養護学校への看護師配置が本九月県議会に提案されておりますが、保護者の願いがようやく届いたとの記事が九月二十二日月曜日の佐賀新聞に出ておりました。これは大変喜ばしいことであり、
障害者福祉行政が一歩前進したと、古川知事初め、県当局の英断にまずもって感謝と敬意を表したいと思います。
近年、障害の重度・重複化、重症化の傾向が進む中、特に、チューブから食事をする経管栄養やたんを常時除去しなければならないなど医療的ケアの必要な子供たちは、南部地区に通院や療養のための入院可能な医療機関がなく、佐賀医大や
佐賀整肢学園までの遠距離の通院や入院を乳幼児の時期から成人しても続けなければなりません。
また、
肢体不自由児者は身体機能の改善のリハビリのため、定期的に佐賀まで通院をしております。そのため、重い障害を抱える障害者本人はもとより、家族の心身の負担ははかり知れないものがあります。発熱等、ぐあいの悪いときはなおさらのことであります。
私も金立の
県立養護学校へ行き、現場の皆様や家族の皆様の御負担を目の当たりにし、訴えられる皆様の心を重く受けとめてきました。
また、当南部地区には
重度心身障害者施設が未設置なため、未就学児や養護学校を卒業した重症児者は
重症心身障害者通園事業に佐賀まで通所されなければなりません。
障害者は心身に大きなハンディを抱え、さらに佐賀までの通院や通所の負担を強いられ、御家族の方は二十四時間、三百六十五日の家族だけの介護負担に加え、佐賀までの通所、通院という負担を強いられ、必死に生活をされています。さらに、重症児は誤飲など、のどに詰まらせたり、てんかん発作など
救急小児医療の頻度が高く、身近に病院がない不安を訴えられております。
このような中、平成十九年には県南部地区に新たな養護学校の建設が予定されておりますが、そこに通学する予定の
肢体不自由児二十八名のほとんどが医療の支援が必要であると聞いております。
重度障害者が安心して通えるようにするためには、重度障害児のための施設を設置するなど、支援体制の強化が不可欠であると考えます。また、
養護学校卒業後の活動する場の確保や
在宅福祉サービスの充実、さらには外出時の保護者の負担を軽減するため、
重度障害児等の移送支援が必要であると考えます。
ついては、次の点についてお伺いします。
一点目に、
養護学校設置に伴う県南部地域の
支援体制強化についてであります。
養護学校に隣接して医療機能を有する福祉施設を設置するなど、県南部地域の重度障害児に対する支援を強化する必要があると考えますが、県としてはどのように取り組んでいかれるつもりかお尋ねしたいと思います。
二点目は、
養護学校卒業後の活動する場の確保と
在宅福祉サービスの充実についてであります。
養護学校卒業後も身近な地域で日中活動を行う場が確保されるとともに、療育訓練や日常生活の指導、
介護サービス等が受けられるよう、
サービス供給体制の充実が必要と考えますが、県はどのように取り組んでいかれるつもりかお伺いしたいと思います。
三点目は、
重度障害児等の移送支援についてであります。
全国的な
ボランティア輸送の取り組みを背景として、現在、構造改革特区において
NPO法人等による
有償移送サービスの取り組み等が行われておりますが、本県においても、
重度障害児等の家族の負担を軽減するため、移送支援について積極的に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。
以上、三点でありますが、この
南部養護学校は、かつて鹿島市に住まわれている重度障害児を持つお母さんたちが、子供たちを佐賀の金立の養護学校まで毎日毎日、雨の日も風の日も同行して通学されておるのを見るに見かねた鹿島市の
社会福祉協議会の方々が一緒になって誘致運動を住民運動として長く展開され、その願いが県を動かしたという大変重い、地域の人々のみんなで支えるという歴史と心が背景にあります。どうか
南部養護学校ができたのに、医療機能がないために再び佐賀まで通わなければならないというようなことがないように、開校日までにこれらの点が措置されるかどうかもあわせてお聞きしたいと思います。
最後に、私は県全般の地域づくりに
スローライフという概念が必要だと思っております。
スローライフの推進についての質問であります。
スローライフという言葉は、余りお耳にされない、まだ耳なれない言葉かもしれません。「スロー」という言葉には、「遅い」、「鈍い」とか「おくれている」、「時間がかかる」というマイナスのイメージがあります。そのイメージをプラスに変えたのが、一九八六年、イタリアのローマで起こった
スローフード運動であります。
ファストフードで有名なアメリカの
ハンバーガーショップの進出に対して、地域独自の食文化を大切にしようと始まりました。
スローとは、プラスに考えれば「手間暇をかける」、「深く掘り下げる」という意味にとらえることができます。
スローライフとは、そんな生活を意味しています。
最近、マスコミでこの
スローライフや
スロータウン、
スローフードという言葉を聞くようになりました。
厳しい現代の競争生活を生き抜くために、IT革命に代表されるように効率とスピードが優先されるのは仕方のないことですが、一方、最近、この
スピード社会を見直そうと、この「スロー」という言葉が注目されるようになったのであります。
これは決して
スピード社会を否定するものではありません。どちらの社会も善であると考えているのです。世の中は、大量生産、大量消費の時代から物と心を大切にする時代へ移行しており、今後はこの
スピード社会とスローな社会の二つの価値観が共存する社会を目指すことが必要であります。
前者の
スピード社会は、時計に刻まれる世界共通の時間軸のもと、効率、利便性を重視し、新しいものを追求する社会、後者の
スローライフ、スロー社会は、自然のリズムなど多様な時間軸を認め、万事手間暇をかけて物事を深く追求し、保存再生することに重点を置く社会であります。
保存再生活動とは、地産地消や
農家リフォーム、郷土文化、郷土芸能、工芸品、郷土料理、里山・里川・里海の保存再生、
自然エネルギーの再生、近所同士の助け合い、個人の資質向上、例えば、一人一芸でありますとか一人一資格、一人一研究、一人一NPO活動などであります。将来伸びる教育、お年寄りの知恵をかりる、五感の再生をするなどを言います。共存する社会は、速いものはもっと速く、遅くてよいものはもっと遅く、よりスピーディーに、そして、よりスローにという社会であります。
この二つの社会が共存し、融合するためには、まず、地域資源、天然資源を見詰め直し、歴史、伝統に根差した生活文化、産業、人づくり等を大事にしたスローな地域づくりを推進していく必要があります。
また、食文化や食習慣について考え、郷土食や地域の特色ある食材を改めて見直し、食を楽しみながら食について考えようとする
スローフードの取り組みが重要だと思います。子供たちが
インスタント食品やハンバーガーに代表される
ファストフードばかり食べていては、つくり手の母親の気持ちが伝わらないと思います。子供の教育にも大切なことであります。
この佐賀県の出身の大先輩で、昭和十九年に亡くなられましたが、全国の青年団運動を始められ指導された
日本青年団運動の父・
田澤義鋪先生がいらっしゃいます。田澤先生は、道義が通る国、道理がわかる国、世界から信頼される国、道の国日本を完成しようという国家像を示され、全国の青年団を指導されていきました。今も神宮外苑の日本青年館の玄関ホールには先生の銅像があります。
この田澤先生は、なぜ青年団運動を始められたか。その一つの理由は、当時の
中央集権国家体制の中で中央と地方の格差を問題とされ、地方がよくならなければ日本はよくならないと地域主義を訴えられ、地域の文化や資源を磨き、地域の青年たちに一人一研究を提唱されたのです。ある意味では、今の
スローライフ運動の先駆であったとも言えます。このふるさとの大先輩の教えを今に生かすためにも、
スローライフ運動の推進が必要であると思います。
本県においては、相知町の大草秀幸町長が現在加盟市町村が五十七ある
スロータウン連盟の副会長をしておられ、「
スロータウン逢う地」と書いておられます。「
スロータウン逢う地」というテーマの町づくりを推進しておられます。また、本県出身の歌う
お笑いタレントはなわさんが「一面田んぼだらけ、まるで弥生時代」など、
ふるさと佐賀を愛しつつも自虐的に歌った「佐賀県」のヒットは、まさにスローな社会への共感ではなかったかと思います。
そこで、はなわさんとも親しい知事に第一点目はお伺いをします。
一つは、
スローライフを生かした地域づくりについてであります。
本県は、
スローライフにふさわしい多くの有形、無形の資産を有しています。このようなスローな社会という価値観を取り入れた地域づくりを進めるための普及啓発が必要と考えますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
二点目は、
スローフードの
取り組み状況についてであります。
本県において
スローフードを進める上で、地産地消や地域の伝統食の継承、食育などの取り組みが重要であると考えますが、その
取り組み状況はどのようになっておりますか、担当部長にお伺いしたいと思います。
最後に、古川知事の英知と勇気と情熱と、何よりも佐賀の県勢発展へ一身を捧げる高い志に大きな期待をして、質問の締めくくりとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
3 ◎古川知事 登壇=
土井敏行議員の御質問にお答えします。
まず、地域間格差に関する県の認識についてでございます。
私はかねてより我が佐賀県の地域特性について、県庁所在地に多くの人口が集まり過ぎず、県内各地にそれぞれ拠点がある、いわば連邦共和国のような県であるということを申し上げてきました。事実、九州本土の県はすべて県庁所在地の名前と県の名前が一致しておりますが、その中で、一番県庁所在地に人口が集中しております大分市や熊本市においては、県内人口の三五%以上が県庁所在地に集中をしております。
一方で、我が佐賀県における佐賀市への人口の集中率は一九・二%と二〇%を切っておりまして、そういう意味からしても、県内各地域がそれぞれ特徴を持ち、発展していくことこそが、佐賀県の発展につながるというふうに私は信じております。
ただ一方で、議員が数字を挙げて御指摘になったように、この二十年間において、地域間においてさまざまな発展の速度の違いが出てきたことは事実であります。
その要因の一つとして、産業構造が変化していったことや、
交通ネットワークの整備について県内的に格差が生じているということは事実であり、例えば、産業構造を見てみますと、付加価値の高い加工組み立て型の製造業に比重が高まったことを背景にしまして、平成二年以降、
輸送機械産業関連の部品産業や電気機械、そしてまた半導体関連、そういった産業が輸送に有利な地域に立地したということが、この発展速度の差に影響を与えたと私は考えております。
そのような意味で、地域の発展のために広域的な
ネットワークの整備は極めて重要であると考えておりまして、限られた財源の中にはありますけれども、そういう地域の可能性が発揮できるように私自身努力をしてまいりたいと考えております。
次に、鹿島・太良地域の振興方策についてであります。
少子・高齢化の進展や人口そのものが社会全体として減少していくという時代を迎えることになり、これからは地域とほかの地域との交流人口を図っていくことこそが、地域の発展にとって重要であると考えております。
御指摘のございました鹿島・太良地域は、現在の佐賀県総合計画の地域計画編には、有明海の豊かな海、多良岳に代表される野趣あふれる美しい自然とそこに育まれた多彩な農林水産物に恵まれているところというふうに位置づけられており、具体的には、例えば、鹿島市浜宿の地区におきます酒蔵通りの町並みでありますとか、また、昨年度県が実施をいたしました
地域戦略共同研究事業の中の、今後行ってみたい先アンケートというのをシニア層約五百人に対して行いましたところ、鹿島市の
ガタリンピックですとか、太良の竹崎温泉が県内で行ってみたいところで、例えば、五十代の男性では一位、五十代の女性では三位といった感じで、非常に高い位置にランクをされておりますし、また最近では、干潟体験を目的とした修学旅行もふえてまいりました。
このように、交流の増加のために磨きをかけるべき資源は数多く存在しているものと考えております。
県といたしましては、観光客や専門家の声を聞きながら、交流のための資源のより一層の発掘から、効果的な案内や宣伝方法の検討、そしてまた、隣の県と一体となったルートの設定などに努めてまいりますが、これまで議員がしてこられたような、地域からどうやって盛り上げていくかという地域の方の取り組みを、これまで以上に大事にしていきたいと考えているところでございます。
次に、
スローライフについてでございます。
スローライフを生かした地域づくりについてですが、私も議員が御指摘のあったような
スローライフ、
スローフード、このスローという考え方は今日非常に重要になってきていると思っております。
御議論の中にもございましたように、スローというだけではなく、スピードを出していくところとスローでいく部分、両方を持った社会こそがこの二十一世紀の佐賀県にとって必要であると考えておりますし、江北町の武富勝彦さんという農民の方は、この
スローフード発祥の地のイタリアの協会から、
スローフード・アワードという賞を昨年受賞されました。
このように、佐賀県の持つ風土、魅力というものは、
スローライフ、
スローフードというものと非常に合うものがあると考えております。
県内における相知町の例もございましたが、このように最近では各地で
スローフード、
スローライフについての盛り上がりが出てきているところでもありますので、これから地域づくり団体やいろんなところに情報提供し、また、そういったところと一緒になりまして、すばらしい佐賀の生活をゆとりを持って楽しめるように努めてまいりたいと考えております。
4 ◎重藤厚生部長 登壇=県南部の重度障害児に対します支援につきまして、お答えを申し上げます。
まず、県南部の
養護学校設置に伴います県南部地域の
支援体制強化についてでございます。
県南部地域におきます重度心身障害児者の生活支援の観点から、同地域におきまして、治療と療育訓練、日常生活の指導や介護支援など総合的な福祉サービスの供給体制の整備が必要であるというふうに考えております。
中でも、養護学校に通う子供たちが適切な医療を受けることができる体制の整備について、今後、保護者の意見を伺いながら、医療、福祉、保健、学校などの関係機関、市町村など地元の方々と一緒になっていろんな可能性を探っていきたいというふうに考えております。
次に、
養護学校卒業後の活動する場の確保と
在宅福祉サービスの充実についてでございます。
障害者の働く場や日中の活動の場を確保することは重要な課題であります。今後とも、授産施設の計画的な整備や小規模作業所など身近な地域における活動に対しまして、市町村と一体となって支援をしていきたいというふうに考えております。
また、在宅の重度心身障害児者の生活支援や家族の介護負担軽減のため、ホームヘルプやデイサービス、短期入所などのサービス提供基盤の整備や充実につきましては、それぞれの市町村が主体的に取り組む必要がございますけれども、広域的な施設の活用も含めまして、地域の中で必要なサービスの質と量が確保されますよう、市町村とともに取り組んでまいりたいというふうに考えております。
次に、重度障害児の移送支援についてでございます。
重度障害児などの移送手段の確保につきましては、本人の自立と社会参加の促進、保護者の負担軽減のため、重要な課題であるというふうに認識をしております。
議員御指摘のとおり、現在、構造改革特区におきまして、NPOによる
ボランティア輸送としての有償運送事業が実施されるなど規制緩和に向けた取り組みが始まっておるところでございます。
県といたしましては、そうした動きに注視しながら、市町村が実施主体となっております福祉タクシー事業など既存の移送サービスや、NPOなどによる新たな移送サービスを含めまして、移送支援の多様なニーズに対しまして最善の方法につきまして、現在、市町村と検討を行っているところでございます。
それから最後に、議員御指摘いただきましたこうした課題が開校日までに措置されるかどうかということでございます。
養護学校に通う障害児の医療の確保や卒業後の場の確保など、こうした問題は大変重要であるというふうに考えております。こうした課題を開校日までに整備ということでございますけれども、これは確約ということはできませんけれども、開校を目標にいたしまして、鋭意頑張っていきたいというふうに思っております。
以上でございます。
5 ◎野口農政部長 登壇=
スローフードの
取り組み状況についてお答えをいたします。
スローフードの取り組みは、議員お説のとおり、各地に残る食文化を尊重し、将来に伝えるため、一九八〇年代後半にイタリアからスタートしたものでありまして、この取り組みは現在、世界的な運動の一つとして広がりを見せており、我が国でも各地で広がっております。
本県においても、先ほど知事から答弁がありましたように、イタリアの
スローフード協会から
スローフード・アワードを日本人で初めて受賞された武富さんもおられます。
また、つい最近では、「まちんなか農村れすとらん 菜」が開設をされるなど、一般県民を対象として、県内の安全・安心な食材を使って、食が持つ本来の豊かさを再認識してもらうことや、県内各地で生産された農産物をPRし、地産地消の情報を発信するなどの取り組みがなされております。
御指摘のとおり、
スローフードを進める上で、地産地消や伝統食の継承、食育などの取り組みは重要であると考えております。このようなことから、県では地産地消を推進するため、消費者の農業に対する理解や、県産農産物の支持、愛用を促進いたしますさが農業・農村ふれあい運動の取り組みや、学校給食「ふるさとの食の日」支援事業による県産農産物の利用促進に努めているところでございます。
また、地域の伝統食の継承を進めるために、「佐賀の食」推進事業による郷土料理集の作成や郷土料理の講習会等の開催を行い、さらには食育を推進するために、栄養バランスの改善や正しい食生活への見直しなど十項目から成ります食生活指針の普及啓発や、子供たちの農業体験の実施などに取り組んでおるところでございます。
県といたしましては、
スローフードの取り組みが一層促進されるよう引き続き市町村などとも連携を図りながら、地産地消などを進めることによりまして、県民の県産農産物の支持、愛用への意識がさらに高まるように努めてまいりたいと、このように思っております。
以上でございます。
6 ◎川上土木部長 登壇=県南部の道路整備の促進についてお答えいたします。
まず、一点目は、有明沿岸道路の現在の進捗状況等についてでございます。
御質問の佐賀市から鹿島市まで約十九キロでございますが、国道四百四十四号のバイパスとして、県で整備に向けた調査を進めてきたところであります。
このうち、佐賀市から福富町までの約十キロメートルは、平成十二年に整備区間に指定されておりまして、平成十四年四月に環境影響評価方法書の公告縦覧を行い、ことし五月に環境に関する現地調査を終え、現在、環境影響評価準備書の作成中でございます。今年度中には準備書の公告縦覧を行う予定にしておりまして、平成十七年度の事業化を目標といたしております。
完成までの費用と時間についてでございますが、当地域は軟弱地盤でありますことから、一キロメートル当たりの事業費は、四十億円から五十億円程度かかり、完成までに多額の事業費と長い時間を要する見込みでありますが、軟弱地盤対策工法の検討や一般道路との交差点処理の工夫などによる大幅なコスト縮減を図るとともに、重点投資を行い、一日も早い整備に努めてまいりたいと考えております。
福富町から鹿島市まで約九キロメートルは、平成九年に調査区間に指定されており、整備区間の指定に向けて、現在、県で概略ルートなどの検討中であります。限られた予算の中で整備効果ができるだけ早期に上がるよう、道路の構造や優先的に整備する区間などの検討を進め、佐賀-福富間の事業の進捗を見ながら、整備区間の指定を国に要望していきたいと考えております。
次に、鹿島市から長崎県側の延伸についてでございます。
鹿島市から諫早市までは、いまだ地域高規格道路の指定を受けておりません。まずは、地域高規格道路の候補路線の指定を受ける必要がありますが、道路の機能や整備効果、
幹線ネットワークとしての位置づけなどを検討し、候補路線の指定について長崎県と調整していきたいと考えております。
次に、
九州横断自動車道の
アクセス道路の整備促進についてであります。
鹿島市周辺地域から
九州横断自動車道への
アクセス道路の整備につきましては、武雄北方インターへの
アクセス道路となる国道四百九十八号や、嬉野インターへの
アクセス道路となる県道鹿島嬉野線の整備を進めてきたところであります。
規格の高い道路で当地域と
九州横断自動車道を接続することは、
ネットワーク形成の観点からは今後の検討課題でありますが、膨大な費用を要することから、まずは国道四百九十八号などの現在の道路を有効に活用する道路整備に努めてまいりたいと考えております。
7 ◎土井敏行君 登壇=それでは、再質問させていただきます。
まず、
スローライフの推進について御答弁をいただきました。今後、より前向きにとらえていただければと思います。
理念のない運動は単なる活動でしかありません。例えば、地産地消運動が単に地場産品の消費拡大といった市場経済主義レベルの運動であるならば、これは人の心を動かさないと思います。
お隣の韓国では身土不二運動として、この地産地消を推奨しております。私もかつて
ガタリンピックの交流で韓国の高興郡というところへ行ってまいりました。そこの農協のような組織では、全部この身土不二の額がかかっております。
どういう意味かということを尋ねましたら、自分の体とそこの土は同一だと、二つないという儒教の教えだと。人間は自分の生まれた土地からとれた食べ物を食べて、そこで土に帰っていくのが一番幸せで健康なことだという教えだと言われました。単純な地産地消ではなくて、そこには大きな理念的な運動の違いを感じてきたわけであります。
本県の地産地消運動を、韓国のように人間の本来の姿を取り戻す
スローライフの理念による運動にレベルアップをすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
また、本県には豊かな自然、農業、漁業、そして何より豊かな経験を持たれた多くのお年寄りがいらっしゃいます。高齢者の生きがい対策にもつながると思いますし、子供の教育にも大切であると思いますが、この点について知事はどうお考えになるのか、お聞かせ願いたいと思います。
それともう一点、ひがたマリンピアのことについてお伺いしましたが、私も意見の中で申し上げましたように、マリンピアについては、今の時代に合わないかつての構想ではなかったかと思います。しかし、新たな観点で、野外環境教室といったようなコンセプトで、この有明海から情報を発信できる基地を整備すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。
これで二回目の質問を終わります。
8 ◎古川知事 登壇=まず、
スローライフについてでございますが、身土不二という考え方は、確かに非常に重いものがあろうかと思います。我が国も同じ言葉、そしてまた、例えば住んでいるところの三里四方、四里四方の物を食べていれば病気をしない、そういった言葉もございます。
そういう地元の物、周りにある物を大切にしていこうというのが、いわば哲学的に実践されていくことが
スローライフで必要であろうと思っておりまして、これまでいわば
ファストフード、ファストライフのようなものは、日本全国あまねくひとしく、そういったものを目標として進められてきたものがあったと思いますけれども、この
スローライフというものは、ひとしからざるというところを逆に特徴としていく、ここでしかできないことをやっていくというふうになろうかと思います。
高齢者の生きがいということにもつながりますし、我が県はそういう意味でも三世代同居の率も高く、高齢者が地域で大事にされているという特徴もありますので、佐賀県らしい
スローライフの推進について、またこれからも考えていきたいと思います。
次に、振興方策の中の有明ひがたマリンピアにかわる新しいものは何か考えられないのかということについてでございますが、確かに時代に合わなくなってきている部分もございます。具体的にこういうふうなものというふうにここで申し上げることはできませんが、鹿島・太良地域の振興方策の何か中核になっていくようなものについて、そういう野外環境教室のようなものを含めて、今後検討してまいりたいと考えます。
9 ◎藤木卓一郎君(拍手)登壇=それでは、通告に従いまして順次質問をさせていただきます。
きょうは少し多く六問ということでございますけれども、端的に簡便に質問をさせていただきますので、より明確で前向きな答弁を期待いたしております。
まず、県行政を進めるに当たっての職員の意識改革ということについてであります。
知事は当選以来「オープン」「現場」、そして「県民協働」というこの三つのキーワードを掲げられ、就任後すぐに県内八カ所の緊急対話集会や、市町村ごとの知事とかたろうかいの開催、はたまた各種団体が現在抱えておるさまざまな問題の現場そのものに駆けつけるなど、現場の生の意見に真摯に耳を傾け、すぐにでも実現し得ると判断されたものは着実に施策に移されている、そのスピード感あふれる行政手法を目の当たりにするとき、まさしく現場主義に徹し、県民協働にして対処するという知事の選挙時の県民との約束の遵守に大変うれしく思い、ここに改めて敬意を表するところでございます。
しかし、ここできょうお伺いいたしたいのは、知事も就任後五カ月近くが立つわけですけれども、知事の言うところの三つのキーワードの意味するところ、言うなれば古川イズムとでもいうべき基本コンセプトが果たしてこの五カ月間、ちゃんと県庁職員の皆様方に幾らかでも、四千全職員に徹頭徹尾とは申しませんが、県庁職員さんに幾らかでも浸透し、この基本理念に立った事業の推進がなされているかということについて、お伺いしたいのであります。
例えば、土木行政における建設関連業者並びにその団体等は、現在、普通建設事業費ベースで言えば一千億円以上もの税金とかかわり、社会資本の整備を進めるに当たり、行政サイドとしては、日ごろから必要な意見や、さまざまな情報収集を行うべき民間サイドの最重要なパートナーであるはずであります。
しかしながら、現状は、指導の行き過ぎた公務員倫理の観点にきつく縛られ、交流に伴うリスクを恐れるが余り、県職員は社会通念上きっと許容されるであろう最小限の交流をも放棄しているように思えてなりません。つまり、オープンではなくクローズであります。
具体的に申し上げれば、私の経験から申して、県職員の皆様は半ば形式的というか、または半ば通り一辺倒、そう言うのも大変ちょっと申しわけないんですけれども、そう思える研修会や総会等の集まりには比較的に参加していただけるのですが、その後に開催される懇親会には、先ほど申し上げた公務員倫理の観点に立ち、なかなか出席してもらえないようであります。
しかし、僕は本当は逆であろうと思います。このような機会こそ生きた現場の本当の声、ふだん上っ面だけのつき合いではほとんど聞こえてこない、現場に生きる県民の声なき声を知り得る絶好の機会であり、県庁職員として業務上必要とされる人脈づくりを行える貴重な場となっており、このような交流もまた効果的な事務執行を行う上で非常に大切な業務であると私は考えております。
また、卑近な例でもう一点申し上げれば、土木部や農政部のことで大変恐縮なんですけれども、たまに県の出先機関などを訪問するとカウンターには記名受け、名刺置きというんですかね、記名置きを置いて外部の者を寄せつけない仕組みになっているところが大半であります。
それは土木部に限らず、ほかもそうなのかもわかりませんが、これなどはまさしく県執行部は必要以上に業界並びに団体との間に壁をつくり、オープンではなくクローズ、県民のいる現場ではなく、自分たちしかいない机上で、そういった意味では県民協働ではなく、半ば独裁的に事務を執行する、つまり、自閉する県庁の象徴そのもののような気がして大変残念なことであります。
たまに、民間との関係において事件が起こります。よく聞く贈収賄の事件であります。そのたびに公務員の倫理観が世上声高に叫ばれ、徹底した指導なり、監督なり、ルールづくりなりが行われてまいりました。私もその重要性ははっきりと認めることにやぶさかではございませんが、だからと言って公務員の倫理の観点にのみ縛られた結果、その交流に伴うリスクを恐れる余り、県職員が社会通念上、必ずや許されるであろう最小限の交流も放棄することがあるというのでは、薬が効き過ぎて「あつものに懲りてなますを吹く」がごときということであります。
そして、このことは短い議会経験ではありますが、私が思うに出先であれ、本庁であれ、総務部門であれ、事業部門であれ、また多かれ少なかれ、あらゆる職員の方々のマインドに大きな影響を来しておるように思えてならず、またさらに、それが罪深いと思うのは、このこと自体が右へ倣えとばかりに、市町村の事務事業の推進にまで大きな影響を及ぼしていると感じられることにあります。
私が思うに、知事の「オープン」「現場」「県民協働」ということについて、知事と職員との間にはその意味するところと、その理解と実践において、まだまだ大きなギャップがあるのではないかと思います。
知事は、数千の県職員とともに、県政を進めるに当たり「オープン」「現場」「県民協働」の三つのキーワード、まさしく古川イズムについて、これを実践し体現していくために、今こそ何らかの県職員の意識改革が必要と考えるけれども、このことについて具体的に知事の所見をお伺いしたいと思います。
その点について、平成十五年九月七日佐賀新聞の記事に県民の世論調査等もありました。そこでは、県政に欠けているところはと聞いた結果なんですけれども、「県職員の資質、意識」が二六・三%でトップです。反面、県職員の意識や仕事ぶりに古川県政になって変化を感じるかという問いには「感じる」が一五・六%、「感じない」が二五・四%、古川イズムの浸透はまだまだと感じているようだというふうな論評もございます。そういうのを踏まえて、前向きな答弁をしていただければと心より期待をいたしております。
次に、公共事業におけるローカル発注についてをお伺いいたします。
県下の経済・雇用状況が今もって厳しい今日、公共事業が県内の経済、雇用に及ぼす影響は大変大きいものがあり、限られた予算だけれども、県内の経済の活性化、雇用の維持、創出に結びつくような効果的かつ効率的な施策を県民はひとしくだれもが望んでいるところでございます。
このたび知事が選挙戦を通じて県民との公約の中で、県庁が率先してローカルに徹するべく県内企業へ優先的に発注するという、通称ローカル発注制度を表明されたことは、県内企業の育成や活性化、雇用の維持、創出に大いに寄与するものと、多くの県民が歓迎しているところでございます。
また、県発注においては、元請業者のみならず、下請業者、資材及び技術者に至るまで可能な限り、県内優先にするべきであると私は考えており、これらを含めてローカル発注をその制度として完成させ、細大漏らさず徹底していただきたいと思っております。
県では、先ほどローカル発注に関する緊急措置を取りまとめ、公表されたところでございますので、そこで次の点について、制度の提唱者でございます古川知事にお伺いいたします。
一つ、ローカル発注促進のための緊急措置の中の公共工事において、下請業者を使う場合においては、下請業者の県内企業の優先活用、資材等の県内優先調達、及び県内技術者等の優先活用を図るため、その趣旨を契約約款に明記することとなっているけれども、県内の経済・雇用状況を勘案すれば、これは大変な、本当にすばらしい案だと思いますので、早急に取り組むべきだと私は考えますが、現在の
取り組み状況がどのようになっているのか、その取り組みについてお伺いいたします。
二番目、私は県内の経済・雇用情勢を勘案すれば、ローカル発注は時宜を得た大変効果的な施策だと考えます。
しかし、市町村においては、特に対策を講じておられないように見受けられます。もちろん別の自治体なんだから、それは確かにそうなのかもわかりませんが、このローカル発注の効果をさらに発揮させるためには、私は全県的な運動として、その総力を挙げて取り組む必要性を感じており、普通建設事業費ベースで先ほども申し上げましたが、一千億円の本県に対し、約七百五十億円もの資金を投入する公共事業のもう一方の担い手である市町村へ、その意義をよく説明し、理解を求めるなど指導を図るべきであると私は考えますが、知事の御所見をお伺いしたいと思います。
次は、耐震化対策、地震についての話であります。
平成七年一月十七日の未明に発生した阪神・淡路大震災では、同じ日本の国にありながら、六千四百三十五名の多くのとうとい人命が失われ、家屋の全半壊が約二十五万棟、一部半壊が二十六万棟に及ぶなど、甚大な被害を発生する未曽有の大災害でありましたが、我々佐賀県もこの大震災から学ぶべき教訓を多く得たはずであります。特に、この震災では、先ほど申しましたとおり、建物の倒壊や、その後の倒壊した建物の火災による死者が最も多かったことから、国においては建築物の耐震改修の促進に関する法律を制定するなどして、地震に強い建物、つまり建物の耐震化について、施策の充実強化が図られたところでございます。
しかしながら、あの地震より後、我が国では平成十二年十月には鳥取県西部でまた大きな地震が起こり、全半壊が二千八百八十八棟、一部損壊が一万四千百三十四棟に上り、平成十三年三月にも芸予地震が起き、そして、私が今回質問に立つ原因となった、ことしの五月と七月、急に降ってわいたように、四千五百棟の全半壊、一万五百棟の一部損壊被害を出した宮城県での地震など、大きな地震災害が突発的に発生している昨今であります。
そこで、本県においては、平成九年度に佐賀県地域防災計画を改定され、昭和五十六年の建築基準法改正前の耐震基準で建築された公共施設については、防災上の重要度を考慮し、計画的に耐震診断を行い、必要に応じて耐震性の強化を推進することが明記されたところでございます。
しかし、実際的には耐震診断が必要な施設の一三・四%、または耐震改修工事に至っては、必要施設の何と五・三%と、実際に際しても相当の費用を要するということは確かに言えるわけなんですが、ほとんど、ほとんど進んでいないというのが本県の現状であります。
いたずらに怖がらせるつもりではございませんが、このことは大変怖い数字でございます。ですから、若干説明させていただきますと、私が先ほど申し上げた必要全施設と申しますのは、防災上重要な施設のことでございまして、これは項目別にきちんと四つに分類されているはずであります。
例えば、第一に本庁舎とか出先庁舎、役場など、災害応急対策活動に必要な施設、第二に病院や消防署などの救護活動施設、第三に学校や公民館など、避難所として位置づけられた施設、第四に図書館や福祉施設など、多数の者が利用する施設となっております。
怖いのは、例えば、本県において、本庁舎など災害応急対策施設では、つまり災害になったときに指示を出す、その中枢機能を持っているところであります。県内に全部で六十施設、棟数にして八十四棟数あります。そのうち、昭和五十六年の建築基準法の改正前の基準で建築された、地震にはとっても脆弱な棟数が八十四棟数のうちに五十四棟数あります。そのうち、これが本当に地震に危ないのか危なくないのか、そういう判断をする耐震診断が実施されたのは五棟であります。それから改修されたのは、今なおゼロ件であります。
さらに言えば、病院や消防署など、全県的に九・五%の診断実施率であり、改修は二・四%にとどまっているということでありますから、つまり、これを実際の地震に置きかえた場合として総合的に読み解くと、一たん緩急あって震度六近くの大震災発生という際には、災害に対応する中枢機能の約六五%、病院や消防機能などは四五%が機能不全に陥る可能性があります。本県の防災施設全体でも、現実的に宮城県や鳥取県クラスの地震には五六%、約半分の施設が使用不能となる計算であります。
つまり、本県の防災対策は、まさしく絵にかいたもちそのものであり、震災の現場においては、実際的には使用不能なのに、防災計画上、ここが司令室ですよ。傷の手当てはこの病院ですよ。また、避難場所はこの小学校の体育館ですよと明記されておるわけであります。
しかし、実際は来てくれるはずの消防車の約半分は、逆に救出に向かわなければならないような状況であり、何より災害対策を速やかに実施してもらうことが期待されておる役場のような中枢機能を有した建物の多くが壊滅的な打撃を受け、だれもそこには寄りつけないさまになっておるだろうということであります。
そこで私が思うに、本県の平成九年度版地域防災計画、この計画とは一体何なんだろうということであります。政治の目的は、その使命は恒常的な安全と繁栄の確保であります。人にあっては防衛と言い、治安と言い、自然にあっては防災と言えましょう。
確かに、本県は有史以来、大型の地震が起こったことがなく、地質の構造上地震が起こりにくい安全な地形なのかもわかりません。しかし、起こらないだろうを前提にした防災計画などは、政治本来の目的を果たしたことには全くならず、まさしく本県の震災対策は形であり、油断そのものであるということを厳しく指摘せざるを得ません。
以上のことを踏まえ、次の二点についてお伺いします。
今後、建物の老朽化により改築が順次進められれば、徐々に耐震化率は向上してまいります。昭和五十七年以降の耐震設計に基づいてつくっていかれるわけですから、そういう意味においては、耐震化率は向上してまいります。
しかし、防災上、最重要な位置づけがなされている市町村の公共施設などについては、住民の生命や財産を保護するという政治上の第一義的目的達成の観点から、まずは建物の安全性を確認する耐震診断を合理的、かつ効果的に実施するべきだと思います。
お金がかかるのであれば、この点について市町村と県が一体となり、連携を図りながら、例えば、耐震診断十カ年計画など、実施計画を策定すべきであると私は考えますが、その点についていかがかということ。
また、特に防災上、最重要な位置づけがなされている市町村の公共施設については、耐震診断──診断はしょせんは診断でしかないわけですから、耐震診断はもとより、安全・安心の原資である耐震改修工事についても大いに促進されるよう市町村に積極的に働きかけるべきであると思うけれども、この二点について、担当部長にその所見をお伺いいたします。
次に、農薬の問題であります。
昨年七月末以降、一部の業者が登録のない農薬を輸入販売していた事実が発覚し、関係する都道府県で立入検査を行った結果、四十四都道府県において約二百七十の業者がダイホルタン、プリクトランなど十種類を超える無登録農薬を約四千戸の農家に販売していたという事件が発生いたしました。
この無登録農薬の流通使用の問題が全国的に話題になったことから、政府においては、国民の食の安全を確保するため、昨年十二月に農薬取締法を改正し、無登録農薬の製造、そして輸入の禁止、農薬使用基準の設定などの措置がいきなり、いきなり本年三月十日から適用されることとなったところであります。
問題は、このスピード感あふれる行政対応が消費者には大変頼もしく感じられたのでしょうけれども、逆に法の改正が早過ぎて、流通や使用現場である農家サイドがその改正に十二分についてこれず、十分な周知や実質的な経過措置が講じられなかった結果、現場は大変な混乱を来しておるようでございます。
その混乱の主たる原因となっておりますのは、この法の改正に合わせ、農林水産省では農産物の安全性の観点から、農薬使用の取り扱いを見直されたことに起因いたしておるのであります。
例えば、ミニトマトでは、これまで普通の大きさのトマトに使用できる農薬はすべて使用できていたのであります。農薬のカテゴリーはトマト。トマトであれば、ミニであろうと大きいやつであろうと、トマトである以上は使用が許可されてきたわけでありますが、見直しの後は安全上、通常のトマトには使えるんだけれども、ミニトマトでは使用できなくなった、そんな農薬が出てきたり。
それに、もちろん法的には二年間の経過措置が講じられておるのですから、実際使ったからといって罰金を払ったり、禁錮、いろいろ取り調べられたりするということは本当はないんですけれども、しかし、実態経済の流通はそれを全く許しません。使用の際は、場合によっては買い手先から損害賠償で訴えられる可能性も考慮しなければならないという、本当に不安な中での農薬散布という状況にあります。
他作物でも農薬のラベルに使用の許可が明記されてあっても、例えば、ナスビは使っていいとか、レタスは使っていいとか、そのようにラベルの使用の許可が明記されてあっても、メーカーが営業上の問題から国に登録しなかった結果、使用しておった農薬が今では知らないうちに無登録農薬になってしまっているケースなど、要するに、農家が農薬を購入した時点では当たり前に使用可能であったものが、三月十日を境にその農薬を当たり前には使用できなくなり、購入したばかりなのに結果使えなくなった農薬が農家の在庫になってしまうという、いわば国の制度の改正のツケがすべて農家という生産者サイドに回っているという状況が生じているというわけであります。
そもそも、このようなことになったのは、食の安全を確保するためとはいえ、政府が農家への十分な周知期間も設けず、急な見直しを行ったものである以上、私はこのような在庫農薬の問題については、例えば、国や農薬製造メーカーなどの責任において回収するなど、とりあえず、何らかの措置を講ずるべきであると思うんだけれども、県はどのように対応しようと考えているのか、担当部長の御所見をお伺いいたしたいと思います。
それでは、五番目になりますが、教育長に問います。
県立博物館の利用促進についてであります。
この問題については、私は営々と県立博物館の本当に応援者の一人だと思っておりますもんですから、何度も何度もこのことについてはお話をさせていただいているわけなんですけれども、きょうこそ前向きな答弁をいただきたいと心から思っております。
県立博物館だけが入館者が極端に少ない、そのことであります。
県立博物館は三十年以上の歴史を持っておりまして、本県唯一の国宝の催馬楽譜を初め、国の重要文化財の楊柳観音像や、吉野ヶ里遺跡の有柄銅剣など、充実した展示品、収蔵品を有する大変大変、佐賀県にとっては本当にすばらしい施設だと思います。
しかし、県民にとって、県立博物館の敷居は大変高くあるようでございまして、入館者数を見ると平成十二年度から十四年度までの三年間の平均で約四万人となっており、
名護屋城博物館の三年間平均の約十三万人に比べると、大変少ない現状でございます。
宇宙科学館は平成十四年二十四万二千八百十七人、
名護屋城博物館は十二万三千人、九州陶磁文化館は七万二千人、美術館は十六万人、そういう中にあって県立博物館だけが三万四千五百三十人とがくっと少なくなってくるわけであります。
宇宙科学館はそのアミューズメント性において、
名護屋城博物館はその観光ルートにおいて、九州陶磁文化館はその陶磁器の文化とその専門性において、そして、美術館はそもそも我が国日本の近代美術、洋画の世界は本県佐賀県人がつくり上げたと言ってもいいぐらいの歴史と伝統を脈々と今日まで引き継がれている中に、佐賀大学が特設美術を持ち、佐賀北高校は芸術コース、そういう中にあって美術を志向する若者たち老若男女がその市場というんじゃないですけれども、受け入れ先というか、行く人たちがいっぱいいる大きな市場がそこにあるから、今日ここまでこういうふうな数字がある。
ところが、この博物館、何となく学問の府のような感じでコンセプトが明確化されてない分だけ、何となく子供たちにとっても、大人にとっても、みんなにとって敷居が高いような、そういう施設になっている。だから、今の現状があるということです。
佐賀県の博物館も、実際佐賀県の最一等地に立地しております。昭和四十五年の建設当時、今から大体三十年ほど前なんですけれども、一般会計歳出決算額が五百七十三億円だったときに約五億円と、今で言ったときに四十億円以上もの多額の投資がなされた施設であるにもかかわらず、たった三十年たったら一部の県民の方たちが使うだけの施設になってしまっているということでは、博物館にとっても、当時御苦労された人たちにとっても、私たち県民にとっても大変不幸なことでございます。
博物館は、教育目的のために設置されている貴重な財産ですから、子供から大人まで有効に活用してもらい、佐賀の誇る歴史や文化を知ってもらえるようにするべきではないか。
私自身が佐賀県民であるということそのものに、父祖から受け継いだものの自然とか、文化とか、風土とか、そういうことや、また学究的な意味からも、本当にこの博物館というものが、ああ僕らにとって大切なものなんだな、佐賀にいたことということはよかったんだな、佐賀県民であることはすばらしいことなんだとわからせてくれる、最高の建物であります。しかし、館が有効利用されているかどうかは、結局、具体的な入館者の数字に端的にあらわれます。
教育委員会は、県民にとって非常に価値のあるこの博物館の利用促進をどうするかということを、まずもって第一に考えるべき、私はそのように思います。
博物館の利用者増を図るには、私に一つの試案がありまして、義務教育段階で子供たちに博物館への親近感を持たせ、また、子供のころから博物館に行き通うことによって、なじんでもらうことが大事であり、そのためには、市町村教育委員会の協力を得ながら、学校の遠足や修学旅行、または総合学習の時間を利用して、もっと館に足を運んでもらうべきであると考えております。
現在、県内には小学生、中学生合わせて八万六千人が在籍しているわけなんですけれども、この子供たちが義務教育在学中の九年間に郷土学習の場、佐賀県民であるということの学習する場として、九年間にたった一度だけでも教育の現場として県立博物館に足を運んでくれれば、年間でも約一万人の来館者増となり、にぎわいも大いに増してくるものだと思います。
これに今後、歴史資料館、あるいは公園整備などとの連携を進めながら、周辺一帯を人が楽しく集う場所として魅力が増すように整備していけば、この子供たちが行ってしまいさえすれば、その中身は宝箱であります。
行ってさえしまえば、本当に博物館の中身はみんな喜ぶものになっているはずでございますから、その子供たちは必ずや博物館のリピーターとなり、自分みずからの知恵を啓発させてくれるその場としてのリピーターとなって、子供たちが大人になったとき、さらにまたその子供たちを連れてくるという、世代を超えた入館者増の循環が生まれることが容易に私には想像できるんであります。
博物館においても、これまで利用促進のための対策を進めてこられたと思うけれども、私は、この質問で何度も促進をするべきであると申し上げて、教育長の答弁は企画でもって勝負すると、企画展の充実を図ることでもって他館に負けない入館者増を図ると、何度も申し上げてこられましたけれども、やはり今のままいけば、正直申し上げて自然増は見込めないのではないか。私は、ここで何らかの思い切ったてこ入れが必要であると思い、次の三点について質問します。
現在、博物館では、県民の利用を促すためにどのようなことを行っているかということを端的にいきます。
二番目ですが、先日開催された博物館協議会の場で、博物館を利用したいという気持ちはありますが、利用するに当たっての移動手段、移動の手当がないという学校現場の声をまさしく聞いたところであります。そのため、学校現場での利用を後押しするには、学校と博物館との間の移動の手段が財政的に確保されることがまずもって必要ではないかと思い、市町村教育委員会に対して経費を補助できないか、再三にわたって質問しているこの質問を、博物館協議会の中で学校の先生たち、校長先生たちもおっしゃっておられました。
その意を得て改めてここで質問するわけなんですけれども、経費を補助できないかということを質問をいたします。
三番目、子供たちが義務教育の九年間に、一度でもいいから博物館というすばらしいその知恵を啓発させてくれる佐賀県の知の宝箱、この場に訪れることができるよう、市町村教育委員会を通じて学校に働きかけてもらいたいと思うんだけれども、いかがかということを教育長にお伺いいたします。
それでは、最後なんですけれども、高校再編における専門高校の検討についてということで、この点についても教育長に質問を投げかけています。
県立高等学校の再編整備については、平成十四年十月に第一次実施計画が公表されたのは御承知のとおりでございます。
その後、県議会の決議とか、地域から出された意見、要望などを踏まえて、県教育委員会で再度検討がなされ、ことし七月に検討結果の取りまとめが公表されたことは、皆さん、県民ひとしく承知のところでございます。
この中で、継続検討となっている専門高校グループの再編については、遅くとも平成十六年度中に結論を得るということになっているわけなんですけれども、今後の継続検討においては、教育的見地を根本に据えながらも、地域が県立高校を誘致した過去のいきさつとか、その高校の発展のためになされた今日までの努力、そして現在においての地域とのかかわり、通学上の利便性などを踏まえ、総合的に検討していく必要があると私は考えています。
そこで、三点についてお伺いします。
地元への説明ということですが、専門高校グループの再編については、地元でも大変関心が高いので、地元で説明会を開催し、PTAを初めとする地元関係者に改めて実施計画の概要、今日に至る経緯等を説明するべきではないかということでございます。
今までの地域説明会は、十六会場で延べ九百七十人の参加者を迎えての説明会をされましたが、その対象者は、これからその高等学校に入る可能性がある小中学校及び高等学校の保護者を対象に説明会が開催されていました。
しかし、実際、佐賀県政における今回の議論は、高校再編にかかわる陳情要望状況なども三十一件、また、署名提出についても十九万七千七百九十五筆と地域が一丸となって、地域の問題としてこの佐賀県政に議論を投げかけ、今日の結論に至っているわけであります。今日、結論を得たその根拠は、小中学校及び高等学校の保護者等の意見を聞きながら一年延期になったのではないということであれば、本当にこの問題に真摯に考えている地域のみんなに、県は教育長のその名において、正面から堂々と論陣を張り、今日までの経緯、そしてこれからの展望等、きちんと向かい合って説明する時が、今このタイミングにおいて来ていると私は思えてなりません。
そういう意味において、私はこの地元への説明ということについて、答弁を求めたいと思います。
もう一つ、継続検討のあり方ということでございます。
継続検討となった専門高校グループについては、新高校整備推進委員会等で検討が進められていると聞いておりますが、地域の声も聞く必要があることから、この委員会のメンバーに学校関係者や教育庁関係者だけではなくて、地域の関係者も含めて議論するべきだと思うがどうかということであります。また、検討内容については、途中の段階でも公表し、できるだけ検討過程が見えるようにするべきではないか。
古川知事は、今回の選挙戦においてオープンという言葉を掲げられ、また、情報公開度ナンバーワンなどということが言葉としてあっております。施策の重要な課題であります。
そういう状況の中で、県機関の統廃合については、いつも言えることなんですけれども、降ってわいたように計画案が示され、びっくりしてそれから大騒動ということでございました。また、同じ二の轍を踏み、大騒動しなくても済むように、この検討内容については、順次幾つかの段階で公表していただきたい。
そして、基本的に今回の騒動は繰り返し──さっきの地元説明についてのときと同じように繰り返し説明するようになっているわけなんですけれども、教育委員会、その教育ということに関するプロの方々、専門家と称される方たちのみによって決められたことに対する地域並びに県民の反発によりこういう結論であります。ですから、この検討していく過程、整備推進委員会でも、きちんと地域の声を、その声なき声をきちんと具体的に反映させた形で、私は整備され、推進されていく、そういう委員会であってほしいという願いから、情報公開と地域の声を入れるべしということを二点目についての質問にさせていただきます。
三点目なんですけれども、これが最後です。家庭科という科目の集約化についてであります。
つい先日、我が母校ではないんですけれども、近所の牛津高校の話になりますが、九月二十日に中学三年生を対象とした一日体験入学が開かれたと新聞等に載っておりました。牛津高校は独特の家庭科専門教育を受けられる、そういう特色を持った高校で、二日間実施されたらしいんですけれども、そこに参加された中学生の地域は県内全域に及んでいるということでして、その合計は五百十三人と相変わらずの人気を誇って、ニーズはばっちりということを今もって示しているような状況であります。
牛津高校は、やはりこの前も申し上げているとおりに、JR沿線上にあって、ここの新聞に書かれてあるように、県内全域から参加できるように、本当にそれだけ恵まれた交通の利便性があって、県内の広域から通学も可能であるし、このようなことから、家庭科を県内各地に分散的に配置するよりも、牛津高校に集約し、家庭科の単独拠点校として、牛津高校に来れば家庭科がアラカルトに、いろんな家庭科の勉強ができると、そういうような拠点校として存続させるべきだと私は確信をいたしておりますが、その点についての教育長の答弁を求めたいと思います。
以上をもちまして、私の六点に対する質問を終わります。前向きな答弁を本当に心からお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。御清聴いただきありがとうございました。(拍手)
10 ◎古川知事 登壇=藤木卓一郎議員の御質問にお答えします。
まず、県行政を進めるに当たっての職員の意識改革についてであります。
先ほど議員御指摘の中でありましたような三つのキーワードを私自身がこのことに率先して取り組むことはもちろんでありますが、繰り返し職員に対しても訴えているところでございます。
しかしながら、お話の中にもありましたように、それが現時点でどこまで徹底しているかということについては、まだまだ徹底が不足しているということを自分自身感じており、まだまだであるという思いと、これからであるという決意をいたしているところでございます。
職員と政策の議論をする際には、今やっている仕事は本当に県民の目から見て必要なことなのか、また、どういう成果が上がっているのか、そういったことを必ず問いかけるようにしております。そしてまた、新しい政策を実現していく際には、まず現場の職員からの積み上げ、県民の声からの積み上げ、そういったことをやっていこうということをこれからの新しい県政の運営のあり方として、全職員に対して私の方から伝えもしているところでもございます。そういう取り組みをいたしておりますが、意識、そしてまた体質というものは、一朝一夕に変わるものではなく、まだまだ道半ばであることを感じております。
私は、これから職員と一緒になって「オープン」「現場」「県民共働」、この三つをキーワードとした県民の満足度を高めていくような県政をやっていくことは必ず可能であると考えておりまして、職員と一緒になって、御指摘の点も踏まえながら、さらに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、公共工事におけるローカル発注のための緊急措置についての検討状況でございます。
御指摘のございましたローカル発注に関する契約約款の改正の取り組みについては、九月一日に改正案を建設業審議会に諮問し、十六日に答申をいただき、十月一日の施行を目指して、現在、関係機関や建設業界への説明を行い、ローカル発注が円滑に実施されるように努めているところでございます。
新しい約款には、元請業者が下請契約を締結する場合、契約の相手方を佐賀県内に本店を有する者の中から選定するよう努めなければならないと明記をしております。また仮に、県内優先がなされていない場合には、理由書の添付を義務づけておりまして、一定の効果が図れるものと期待をしているところでございます。こういう緊急措置を行うことによりまして、県内企業の受注機会の確保、雇用の維持、創出を図ってまいりたいと考えております。
次に、市町村への指導についてでございます。
私どもとしましては、できる限り県内企業への発注率の向上に努めたいということでもあり、市町村において、この対策を講じていただければ、なお一層の効果が期待できると考えておりますものの、市町村へ直接指導という形で行うことはできませんので、公共工事の発注に関する協議の場であります佐賀県公共工事契約業務連絡協議会などにおきまして、県はこのような考え方である、このように実践をしている、そういうことを示しながら、まずは県が率先すること、そしてまた、県民からの評価をいただければ、市町村の理解も一段と進むものとして期待をしているところでございます。
11 ◎吉野総務部長 登壇=耐震化対策についてお答えをいたします。
まず、市町村公共施設の耐震診断についてでございます。
災害対策本部が置かれます庁舎や、避難所となります学校、公民館など、災害応急対策の拠点となります市町村の公共施設につきましては、これまで市町村において耐震化対策が進められてきたところでございますが、十分な進捗を見ていない状況にございます。
このため、県といたしましては、公共施設の耐震性の確保について積極的な対応がなされるよう、設置者でございます市町村に対して、文書や会議の場を通じまして、強く要請したところでございます。
また、本年一月、市町村に対しまして、防災上重要な施設の耐震化の状況を把握するため、詳細な調査を行ったところでございます。この調査結果によりますと、五十六年度以前の建築基準法の基準で建てられました市町村の公共施設の耐震診断の実施率は、平成十五年一月現在では全市町村平均で一三・四%となっておりますが、市町村によりましては、今後耐震化診断の実施を予定しているところもあり、計画的な耐震化対策の取り組みがなされているところも見受けられるところでございます。
いずれにいたしましても、市町村の公共施設の耐震診断が計画的に推進されますよう、今回の調査結果を踏まえまして、今後、関係部局とともに、市町村におきます耐震診断の実施計画の作成につきまして、強く働きかけてまいりたいと考えております。
次に、市町村への耐震改修工事促進の働きかけについてでございます。
この耐震改修工事につきましては、ことし一月の調査の結果によりますと、五十六年度以前の建物の市町村全体の耐震改修実施率は五・一%にとどまっている状況にございます。
一方、公共施設全体の耐震化率につきましては、四三・三%となっておりますが、これは昭和五十七年の建築基準法改正後の耐震基準により、新たに建築され、あるいは建てかえ等によるものでございまして、徐々にではございますが、耐震化率は向上していくものと考えております。
いずれにいたしましても、市町村の公共施設は、災害時において災害応急対策活動や、住民避難のための防災上重要な施設でございます。
今後とも、耐震化状況の的確な把握に努めますとともに、耐震診断の実施結果をもとに、防災上の重要度を考慮して、効率的、効果的に耐震改修工事等が実施されますように、関係部局と連携して、市町村に積極的に働きかけてまいりたいと考えております。
以上でございます。
12 ◎野口農政部長 登壇=農薬問題についてお答えをいたします。
昨年十二月の農薬取締法の改正に合わせまして、農産物の安全性を確保する観点から、農薬の適用作物の範囲が見直されたことによりまして、ミニトマト、非結球レタス、ワケギ、アサツキ、シシトウ、ハツカダイコンのこの六作物について、従来使用できていた農薬の一部が使用できなくなったということから、御指摘のように、このような農薬の在庫が農家で発生しているものと思われます。
このため、県といたしましては、まず農家におけます農薬の在庫の状況について、市町村や農協と連携をとりまして、その実態把握を行いたいと考えております。
その結果を踏まえまして、在庫農薬については、ほかに使用可能な作物もあることから、その作物を栽培している農家との間で、利用調整ができるのかどうか、これにつきまして、農業団体や農薬販売業者等に対して働きかけをするとともに、この在庫農薬の取り扱いに関しまして、国からは、メーカーで返品に応じている例もあり、そのような農薬がどのような形態でどのくらいの量あるのかがわかればメーカーに照会してもよい、こういう回答も得ておりますことから、必要に応じ、メーカーによる回収を国に対して要請するなどいたしまして、在庫農薬の適切な回収等が行われますように、努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
13 ◎松尾教育長 登壇=まず、佐賀県立博物館の利用促進についてお答えをいたします。
最初に、現在の利用促進策でございますが、博物館では、特色ある佐賀の歴史や文化を常設展示するほか、例えば、「よみがえる肥前刀」など、佐賀に関係が深いテーマを掲げて展示をしております。また新たに購入した資料の新収蔵品展や、あるいは常設特別展等を開催したりして、入館者の確保に努めているところでございます。
また、わかりやすい展示が館の魅力を高めることになるというふうに考えておりまして、団体及び個人の入館者があって、そして説明してもらえないかということであれば、学芸員が資料等の解説を行っているところでございます。
しかしながら、今日の博物館には、単に展示するだけでなく、多くの人が参加できる講座や、イベントなどの開催や、館外での幅広い活動が求められているところでもございます。こういったことで、博物館では、実物資料を多く所蔵する特色を生かしまして、だれもが楽しみながら学べる「博美入門 書画骨董の見方」などのセミナーを十四年度から講座等をふやして充実させているところでございます。
また、館外における活動としましては、公民館などでの生涯学習や学校での総合的な学習の時間に学芸員を積極的に派遣しまして、いわば出前講座も実施をしているところでございます。
次に、移動手段に対する補助についてでございますが、御指摘のとおり、子供のときから博物館を利用してもらうためには、博物館において、児童生徒が興味、関心をそそり、十分な学習効果を上げるような企画を展開することが最も重要なことであると考えております。
このため、夏休みを中心でございますが、子供を対象とした「夏休み子どもミュージアム」、これは竹細工教室だとか、あるいは博物館こども大学などの体験事業でございますけれども、こういったのを実施しております。
さらに、十五年度から新たに学校週五日制にあわせまして、毎月一回、子ども土曜クラブというのを開いています。これは、普通見られない博物館の裏側、これは収蔵庫でございますが、こういったところの探検、あるいは城内公園の歴史や身近な動植物の観察などを開催しまして、子供たちがいつでも来館できる雰囲気づくりに努めているところでもございます。
ところで、博物館利用の財政支援でございますけれども、修学旅行や社会科見学などの経費は、参加する児童生徒の保護者、あるいは市町村教育委員会の負担によって行われている状況でございます。こういったことから、学習の一環として、博物館を訪れる場合も同様に対応していただくことではないかというふうに考えております。
ただ、新たに見学の時間を設ける場合は、教育課程の編成を見直したり、保護者に新たな負担をお願いすることが必要になりますので、できるだけ各学校で既に行われている修学旅行や社会科見学の時間の中で積極的な利活用が図られるようにお願いし、また指導してまいりたいと考えております。
それから、学校への働きかけについてでございますが、これまでも県内の小中学校及び高校に対しましては、年度当初に博物館の年間行事案内のチラシなどを郵送しております。それから、市町村教育長会議などを通じまして、いろんな博物館の事業を広報したり、子供を対象とした事業計画や展示内容等を紹介して、博物館の利活用を図ってもらうように依頼をしてきたところでございます。
さらに、学校の総合的な学習の時間に学芸員を派遣しまして、各種講座や体験教室等を開催して、博物館の魅力を伝えてもいるところでございます。
今後とも、市町村教育委員会とも一層の連携を図りながら、博物館の利用促進について、学校に働きかけてまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、県立博物館の利活用の促進のためには、参加体験型の各種事業の充実や、展示の内容、方法を工夫するなどして、魅力ある館づくりに努めることが肝要であると考えておりまして、博物館に何が求められているのか、何が期待されているのか、そういったものをアンケートやいろんな方法を駆使して、研究、工夫してまいりたいと考えております。
次に、高校再編における専門高校の検討についてでございます。
まず、地元への説明についてでございますが、県立高校再編整備に係る地元への説明については、これまでも県内各地で地域説明会や県民説明会を実施してまいりまして、そのほかにいろいろな機会をとらえて説明に努めてきたところでございます。また、「県民だより」など、さまざまな広報手段を活用しまして、県民への周知広報も努めてまいりました。
御指摘のように、専門高校グループの再編計画については、今後、新高校整備推進委員会などにおいて、新高校の具体像や再編に伴う課題への対応等について、引き続き検討を進めていくことにしておりますが、その検討の結果などを含めまして、県立高校再編計画については、地元関係者に対し、いろんな機会を通じまして、情報提供、あるいは説明に努めてまいりたいと考えております。
それから、継続検討のあり方についてでございますが、新高校整備推進委員会は、新高校における教育方針や教育課程の編成、学校の施設整備のあり方などについて、教育的、専門的な立場から検討案を作成するものでございまして、関係高校及び県教育委員会の教職員により委員会を構成いたしております。
ただ、その検討に当たりましては、適宜、地元市町村やPTA、中学校など関係者の意見を聞くこととしております。このため、必要な場合は、委員以外の方に新高校整備推進委員会の出席を求めまして、その意見または説明を聞くようにしております。
こういったことから、地元の意見等も十分踏まえてまいりたいというふうに考えております。
また、新高校整備推進委員会における検討状況については、節目、節目で結果について公表していきたいと思っております。このほか、いろいろな機会を通じまして、地域の関係者の意見を聞くとともに、情報提供や説明に努めていくようにしておるところでございます。
それから、家庭科の集約についてでございますが、家庭科の配置につきましては、生徒、保護者のニーズや、通学の便、各地域の特性等を考慮するとともに、全県的な視野に立って、県内各地にバランスよく配置する計画としているところでございます。
今回の検討結果において、専門高校グループの再編計画につきましては、新高校の具体的な姿や、家庭科、農業科に対するニーズの検証、配置のあり方などについて、さらに調査検討を行う必要があるといったことで、継続検討するということにしております。
今後、牛津高校の再編計画につきましても、家庭科の配置のあり方などを含めまして、アンケート調査等を追加実施するなどして、引き続き慎重に検討を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
14 ◎議長(篠塚周城君) 暫時休憩します。
午前十一時五十分 休憩
平成十五年九月二十五日(木) 午後一時三十分 開議
出席議員 三十九名
一番 末 安 善 徳 一五番 佐 野 辰 夫 二九番 石 井 秀 夫
二番 太 田 記代子 一六番 福 島 光 洋 三〇番 石 丸 博
三番 指 山 清 範 一七番 中 倉 政 義 三一番 宮 崎 泰 茂
四番 石 丸 元 章 一八番 竹 内 和 教 三二番 牛 嶋 博 明
五番 峰 達 郎 一九番 稲 富 正 敏 三三番 堀 田 一 治
六番 松 尾 真 介 二〇番 伊 藤 豊 三四番 池 田 義 正
七番 土 井 敏 行 二一番 木 下 治 紀 三六番 本 山 光 二
八番 桃 崎 峰 人 二二番 稲 富 康 平 三七番 原 口 義 己
九番 石 倉 秀 郷 二三番 緒 方 勝 一 三八番 吉 田 欣 也
一〇番 増 本 亨 二四番 山 口 隆 敏 四〇番 留 守 茂 幸
一一番 瀬 戸 久 司 二五番 伊 東 猛 彦 四一番 宮 崎 繁 則
一二番 楢 崎 近 二六番 木 原 奉 文
一三番 岩 田 和 親 二七番 岸 本 英 雄
一四番 藤 木 卓一郎 二八番 富 崎 三 郎
欠席議員 二名
三五番 水 田 唯 市
三九番 篠 塚 周 城
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 古 川 康
副 知 事 川久保 善 明
出 納 長 鬼 崎 昭 宣
総 務 部 長 吉 野 健 二
企 画 部 長 満 田 誉
厚 生 部 長 重 藤 和 弘
環境生活局長 古 川 隆 吉
経 済 部 長 坂 井 浩 毅
また、県財政への影響ですが、県内で合併が進んだ場合とそうでない場合では、県の財政にどのような影響があるのか。
四番目に、今後の対応についてであります。
現在進められている市町村合併の背景の一つとして、地方分権が進展する中で基礎的自治体である市町村の体制を強化することがあると思いますが、今後、県としても地方分権をさらに推進していく観点から、合併協議会が難航している場合、期限内の合併が実現できるように、必要な助言をもっと積極的に行う必要があると思いますが、一体何をやっておられるのか、お伺いをしたいと思います。
三番目に、子育て支援のための保育サービスの充実についてであります。
少子化が進む中で、少子化対策として子育て支援が重要であることは当然のことでありますが、その中で保育サービスの充実が最も求められていることではないかと思います。
一つの事例でありますが、都市部から出産のために三、四歳程度の子供を連れて若い母親が里帰りをしたわけですが、実家の親は出産した母親と生まれた子の面倒を見るのが手いっぱいで、上の子を保育園に二、三カ月程度預けられるかどうか心配しているところがありました。
考えてみれば、佐賀県に生まれ育ち、縁があって県外の都市部に嫁いだ。また、結婚後に転勤で夫婦とも遠隔地に行き、実家のある佐賀に出産のために幼な子を連れて帰ってくることは大変多いことではないかと思います。また家族の病気やけがの場合に、その治療期間だけでも保育サービスが必要な状況も考えられます。三世代家族でも保育を必要とする場合もあります。いろんな場面に対応できるような保育所の整備と、保育サービスの提供が図られる必要があると思います。
保育所への入所は、市町村がその状況を見て判断することであり、家族の病気などにおける状態を見て入所を決めておられると思いますが、そのための施設整備も十分行う必要があると思います。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
保育所の整備についてであります。
子育て支援のために従来の保育に欠ける子供のみを対象とした保育所ではなく、こうした場合に一時保育や子育て相談などの多様な役割を果たせる保育所が必要と考えますが、こうした機能を持つ保育所の整備状況はどうなっておるのか。
次に、保育料についてでございます。
これは市町村の判断で保育料の徴収額も国の基準額から減額されているところが多いと聞いておりますが、市町村ごとに高い低いの差があるわけであります。
市町村合併の中でこれも統一がされていくものと思いますが、子育て支援のために利用しやすい金額にすべきと思いますが、どのような考えであるのか、お伺いします。
最後に、少子化対策として、子供を産み、育てやすくする環境づくりを進めるならば、出産時における里帰りにおいても保育所の利用を市町村間で調整する。出産後、戻る先の保育所入所の枠を確保するなどの利用者の要望に沿った制度の整備が必要であると思います。
この点は児童福祉法のもとで国の基準改正や、市町村での保育所整備水準の向上と、市町村間の保育調整とが必要な問題であります。
こうした課題があることを念頭に、国に対して積極的に提案し、佐賀県民の実情と要望に沿った児童福祉行政を進めてほしいと思いますので、その件についての御所見をお願いしたいと思います。
最後に、警察署の再編整備であります。
全国的に刑法犯や交通事故が急増する中で、県内においても、事件、事故が大幅に増加しております。さらには、ハイテク犯罪やDV事案など、新たな対応を必要とする事象の出現、県民からの多種多様な相談への対応など、警察業務は年々増加してきていると思います。
こうした治安情勢に的確に対応していくためには、限りある警察力を効率的に運用していくことも重要であると思います。
県警察においても、このことを認識し、人員の実働部門へのシフトや組織力の柔軟な運用を図る一方で、警察署のあり方についても内部的な検討が進められており、先日、新聞などマスコミにも県警の警察署の再編整備計画の検討状況が報じられたところであります。
そこで、次の点についてお伺いをいたします。
まず初めに、警察署の再編整備検討に至った経緯についてであります。
全国的に京都府警察など、数府県においては、警察署の統廃合を含む再編整備の検討に取り組んでいることは報道などで承知しているところでありますが、こうした警察署の再編整備の検討は、これが全国的なものであるのか、それとも今回報道されたことについては、県警察の独自なものであるのか、お伺いをいたします。
二番目に、警察署の再編整備検討の具体的な内容であります。
県警は、警察署の再編整備計画の検討状況については報道発表されておりますが、その基本方針や再編整備による成果など、具体的には何も報道がされておりませんので、こういった中身についてどういうふうな御検討をされておるのか、お伺いいたしたいと思います。
以上で第一回目の質問を終わります。(拍手)
25 ◎古川知事 登壇=富崎三郎議員の御質問にお答えします。
まず、佐賀県農業に対する認識についてでございます。
我が県の農業は先人のたゆまぬ努力により昭和四十年、さらには四十一年と続けて米づくり日本一に輝くなど我が国農業をリードする輝かしい歴史と伝統を有する地域の重要な産業であると認識をしております。
かつては反当たりの収量を上げるために本当に一生懸命で、日が沈んだ後も公民館に集まって普及員とともにどうやったらより大きな収穫が上げられるかという計画を練ったという話を私自身、周りの人からいろいろ伺っておりました。
しかしながら、そういう量を求める時代が終わり、最近では大詰めを迎えたWTO農業交渉を初め米政策改革大綱への的確な対応など、本県農業を取り巻く国内外の情勢は大きく変貌していると考えております。
そうではあっても、いつの時代にもおいしいもの、そして安全なものを求める国民のニーズというものは変わることなく、佐賀農業は佐賀県から逃げない地域の産業として、これからもきちんと発展しなければならないと考えております。
次に、佐賀県農業の振興についてであります。
先ほど来申し上げておりますように、本県農業がこれまで培ってきた輝かしい歴史を新しい二十一世紀に対応するように、もう一度磨き上げなければならないと考えております。かつては、例えば、米づくりについては反当たり収量においては日本一になりました。今は量よりも質の時代であります。とすれば、もう一度先人たちと同じような努力を今度は収量ではなく、おいしさであるとか、売れることであるとか、魅力のあるものであるとか、そういったふうに努力をして日本一の座をかち取ることをしていかなければならないと思っております。
そしてまた、我が国農業が大きな転換期にある中、去る九月三日に鳥取県や佐賀県など五県の知事により「これからの我が国の農業を考える知事会議」を設立いたしました。明日につなげる水田農業の確立などについて、農業を支える地方の声を全国に向けてアピールを行ったところでありまして、これからの農業は農民の立場とともに消費者の視点に立ち、農業者みずからの創意工夫を生かした新たな農業を目指す必要があるとの共通認識に至ったところでございます。
これからは集落営農等の育成を図り、これまで以上に経営規模の拡大や経営の一体化を図ること、農業生産については消費者にとって魅力があり、いわば売れる農産物づくりに力を入れていかなければならないこと、そういったことを基本に取り組んでまいりたいと存じます。
今後、こうした点を踏まえ、意欲的で経営感覚にすぐれた農業者、いわばプロフェッショナルな農業者の育成や農業に対する県民の幅広い理解と県産農産物への支持、愛用などを一層推進することによりまして、本県農業の持続的発展を図っていきたいと考えております。
次に、市町村合併について今後どのように対応していくのかという点でございます。
先ほど御指摘がありましたように、現在、いろんな地域で法定合併協議会の中の組みかえでありますとか、離脱でありますとか、そういう声が聞こえてきておりますけれども、私は昨日も申し上げましたように、この国の支援があるうちに、今後十年、二十年の地域の姿を考えていただくことは県下各地域において必要なことであると思っておりまして、合併特例法の期限内に合併の実現をするということは、そのための有力な選択肢であると考えております。
合併協議が難航している場合に、市町村との連絡をより密にし、意見調整が難航している項目については、制度の内容やほかの地区の調整事例などを紹介するなどの情報提供を行うように指示したところでもございますし、私自身、共通の理解のもとに協議が進められるように適切な助言に努めてまいりたいと考えております。
26 ◎吉野総務部長 登壇=市町村合併についてお答えいたします。
まず、各地区の現状についてでございます。
杵島六町合併協議会では、新市の事務所の位置について合併前に定める案と合併後に新執行部で検討する案の二案でいろいろと関係町の首長、議長で調整が行われてきましたが、意見調整が難航していたことや、議員定数や合併の時期などについても意見の食い違いがあったことを理由に協議会の解散の方針が決められたところでございます。
なお、当地区では今後新たな枠組みで合併を模索されていくと伺っております。
それから、佐賀東部合併協議会では、鳥栖市が合併後の新市を全域都市計画区域に指定するとともに、三町を市街化調整区域とする考えを三町に示されたのに対しまして、三町では都市計画による線引きは開発を規制するものであり、住民への説明の時間などを考えると合併までの線引きは困難とされております。このため、再度各市町で検討を行い、その結果を協議会に持ち帰り協議することとされておりますが、それぞれの主張に歩み寄りが見られない状況にあると伺っております。
また、佐賀市郡合併協議会では、新市の都市計画区域の線引きの時期をめぐりまして関係市町で意見が異なっておりまして、首長間で調整が行われました結果、その両論を併記したまま他の協定項目について協議を先に進めている状況にございます。
さらに、神埼地区合併協議会では、新市の名称や新市の事務所の位置で調整が難航している状況にございます。
次に、合併協議会に対する県の対応についてでございますが、県では合併協議会が行います合併協議に要する経費に対しまして、合併協議会支援補助金などの財政的支援を初め、法定合併協議会に対しまして要請がありました場合に、委員としての職員の参加や協議会事務局への県職員の派遣などの人的支援を行っております。
また、合併協議会の協議が円滑に進むように制度の内容、協定項目に係りますほかの地区の取り組み事例の紹介など、合併に対するさまざまな判断材料となります情報提供や助言等を行いますとともに、新市の新しいまちづくりでございます新市建設計画の策定に当たりまして、その内容を適切かつ実効性のあるものにするために必要な協議・相談に応じているところでございます。
次に、市町村財政への影響についてでございます。
国、地方を合わせました債務残高、それも国、地方とも多額の債務を抱える中、今日の社会経済情勢から見て現行の地方財政制度が将来にわたって維持されるということは困難であると考えられます。こうした中、三位一体改革の具体的改革工程の中で地方財政計画の歳出の徹底した見直しによる地方交付税の総額抑制、財源保障機能の縮小や段階補正のさらなる見直しの方向などが出されているところでございます。
このような地方財政の動向を踏まえますと、地方交付税に依存します割合の高い本県市町村の財政運営は、今後もさらに厳しさを増していくものと考えられまして、小規模市町村にありましては、これまでのような住民ニーズに対応した行政サービスを継続していくことは厳しい状況になると考えられます。
それから、県財政への影響についてでございますが、市町村合併によります県財政への直接的な影響は、基本的にはないと思いますが、合併が進展し、基礎的自治体としての体制が強化されることによりまして、市町村が担える分野が多くなり、県と市町村の役割分担も変わっていくことが見込まれることから、県がやらなければならない分野に施策の重点を置くことになるものと考えております。
以上でございます。
27 ◎重藤厚生部長 登壇=子育て支援のための保育サービスの充実についてお答え申し上げます。
まず、一時保育や子育て相談などの多様な役割を果たせる保育所の整備が必要ではないかということでございます。
保育所は、本来保護者の就労や出産、あるいは長期入院などによりまして、常態として保育に欠ける子供を保護者にかわって保育する施設でございます。
しかしながら、近年における家庭環境の変化や近隣地域での人間関係の希薄化等を背景といたしまして、保育所には保護者の育児疲れ、急病や勤務形態の多様化によります一時的な保育、あるいは育児相談など多様なサービスの提供が求められているようになってございます。
こうしたことから、県におきましては保育所整備に当たって多様化する保育ニーズに対応できますように、一時保育室や地域子育て支援相談室を備えた多機能化保育所の整備に努めているところでございます。
その結果、平成十年度から十五年度までを計画期間といたしますさがエンゼルプランにおきまして、多機能化保育所の整備目標二十カ所に対しまして二十三カ所の整備を達成する見込みでございます。
今後とも、多様化する保育ニーズに十分対応し、地域におきます子育て支援の中心的な役割を担います保育所の整備を市町村と連携をしながら推進してまいりたいと考えております。
次に、保育料を利用しやすい金額にすべきではないかということでございます。
保育料は、今ほとんどの市町村が保護者の負担を軽減するために国の基準と比較して何らかの軽減措置を講じている状況でございます。
しかしながら、それぞれの地域の実情に応じまして、その軽減状況には差が見られますことから、保育料の調整は合併協議会におきます主要な協議案件となっておりまして、現在、各合併協議会で鋭意協議がなされているというふうに承知をしております。
合併に際しまして、保育料の調整につきましてはあくまでも関係市町村において行われるものというものでございますけれども、県といたしましても保護者が利用しやすい調整が図られますよう、今後とも市町村や合併協議会等の場に意見を申し上げてまいりたいと思います。
それから、里帰りの出産時に利用しやすいように、また保育料も利用しやすい金額にといった佐賀県民の実情と要望に沿った児童福祉行政を国に対しても要望したり、積極的に進めてほしいという御質問でございました。
御指摘のように里帰り出産、それから保育料も高額になられる方もいるということで、議員御指摘のような課題もあるということも認識をしております。こうした課題につきましては、先日、知事も申し上げましたとおり、保育に欠ける、欠けないといった状態にかかわらず、一定の利用料で保育所が利用できるような、例えば、高齢者の介護保険の子育て版というような育児保険というようなものも研究を進めてまいりまして、その中で対応できないかどうかというようなことも研究してまいりたいと考えております。
28 ◎野口農政部長 登壇=農業問題についてのお尋ねのうち、新たな米政策についてお答えをいたします。
まず、国の米政策改革関連施策についてでございます。
八月末に農林水産省が平成十六年度予算として概算要求を行いました米政策改革の関連施策は、産地づくり対策、稲作所得基盤確保対策、担い手経営安定対策、それに集荷円滑化対策、この四つの施策となっております。
まず、産地づくり対策でございますが、これは地域の特色ある水田農業の展開を図りながら、米の生産調整の的確な実施を確保するためのものでありまして、助成措置をこれまでの全国一律の方式から転換をして、対策期間中、一定の交付金をあらかじめ地域に交付をし、その具体的な使途や水準は地域の実情に応じて地域が設定する仕組みと、このようになっております。
次に、稲作所得基盤確保対策でございますが、これは米価下落の影響を緩和するためのものでございまして、過去三年の六十キログラム当たり販売価格を平均した価格を基準価格といたしまして、その価格と当年産価格との差額の五割に定額として六十キログラム当たり三百円を加えた補てん金が交付される対策となっております。
また、担い手経営安定対策は、米価下落の影響が大きい一定規模以上の水田経営を行っております担い手の稲作収入の安定を図るためのものでありまして、過去三年の十アール当たり稲作収入を平均した収入を基準収入といたしまして、その収入と当該年の稲作収入との差額の九割までを、先ほど申し上げました稲作所得基盤確保対策と合わせて補てんする仕組みとなっております。
さらに、集荷円滑化対策は、豊作による過剰米を一たん市場から隔離をするため、六十キログラム当たり三千円の無利子の短期融資を行うことに加えまして、過剰米を主食用と区分した出荷を円滑に行うための措置として、別途、保管料等経費や集荷奨励金など六十キログラム当たり五千円を交付する対策となっております。
次に、農家に支払われる助成金についてでございます。
平成十六年度から実施されます産地づくり対策の交付金は、国から県段階へあらかじめ配分されることとなっておりますが、その交付額算定基準では大豆を作付した場合、最高額は十アール当たり六万三千円となっておりまして、現行の七万三千円からとも補償の生産者拠出相当分一万円を除いた額と同じ水準となっております。
しかしながら、交付金の実際の使途や助成水準につきましては、各市町村段階で地域の実情や、あらかじめ交付された交付金の範囲内で設定する仕組みとなっておりますことから、農家に支払われる具体的な助成金の額については、今後市町村段階の地域水田農業推進協議会において協議、決定されることになります。
次に、新たな米政策への円滑な移行についてでございます。
新たな米政策におきましては、生産調整など、これまで国が強く関与したものから農業者、農業者団体が主役で地方にゆだねたシステムに移行するという大きな変革となっておりますことから、今後の本県の水田農業のあり方について十分検討を行い、国の制度を有効に活用するなどして適切に対処していく必要があると考えております。
このため県といたしましては、本県の水田農業展開の基本方向を明らかにいたしますとともに、県、農業者団体、農業者や消費者の代表者等で構成をいたします県段階の水田農業推進に関する協議会において、国から県へ示されます米の生産目標数量や産地づくり対策交付金の市町村別配分等について協議を行いまして、現段階では年内をめどに決定していくこととしております。
また、各地域においては、これから地域水田農業推進協議会を中心に、産地づくり対策交付金の活用方法など具体的な対応策等の検討が本格化していくということから、今後とも関係機関・団体との緊密な連携のもとに地域水田農業ビジョンの策定に必要な助言や各種情報の提供などを行いまして、地域や農業者等の主体的な取り組みによる新たな米政策への円滑な移行が図られるように努めてまいります。
次に、県独自の園芸農業の支援対策についてでございます。
輸入農産物の増大等に伴います国内外にわたる産地間競争の一層の激化でありますとか価格の低迷など、農業を取り巻く情勢が一段と厳しさを増す中で、今後、本県園芸農業のさらなる発展を図っていくためには、消費者ニーズに即した高品質で安全・安心な園芸作物づくりや、徹底した低コスト化、省力化等による収益性の高い経営の確立などによりまして、競争力のある産地を形成していくことが不可欠でありまして、県としては、平成十六年度以降も生産者の方々が意欲と夢を持って園芸農業を展開できるような取り組みを推進する必要があると考えております。
このようなことから、これまで進めてきました新世紀さが園芸農業確立対策事業の成果を十分踏まえますとともに、園芸農業者を対象とした今後の園芸農業に関する意向調査の実施や、市町村や農業団体等を対象としたブロック別の意見交換会の開催を行うなどいたしまして、今後の取り組みについて検討を進めているところであります。生産者の意欲高揚はもとより、県民の理解が得られるものとなるように十分検討してまいりたいと考えております。
次に、畜産環境保全対策についてのお尋ねにお答えをいたします。
まず、管理基準の規定の対象農家数と施設の整備状況についてでございます。
家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律、いわゆる家畜排せつ物法の管理基準の規定の対象となる畜産農家は、それぞれ家畜の種類ごとにその飼養頭羽数で定められております。
具体的には、牛、馬については十頭以上、豚については百頭以上、鶏については二千羽以上と、こういったものを飼養する畜産業を営む者となっておりまして、本県においてはことし五月末現在で九百九十八戸が対象となっております。
また、堆肥舎等の施設の整備状況について管理基準の規定の対象となります、先ほども申し上げました九百九十八戸を調査いたしましたところ、法に定める管理基準に適合する処理施設を整備している畜産農家は七百七十六戸であります。約七八%の整備状況となっております。
次に、農家の負担を軽減するための施策についてでございます。
家畜排せつ物法の規定のとおり、家畜排せつ物を適切に処理するためには、堆肥舎、尿処理施設、堆肥散布機などの整備が必要であります。
これを支援するための事業といたしましては、国においては三戸以上の営農集団を対象とした資源循環型農業確立支援事業がありますし、また、財団法人畜産環境整備機構におきましては個別の畜産農家を対象とした畜産環境整備リース事業がございます。
また、県単独事業といたしまして、個別の畜産農家を対象としたさが畜産クリーンアップ緊急対策事業などがありまして、県といたしましてはこのような事業の活用を促進し、畜産農家が取り組まれる家畜排せつ物処理施設等の整備に係る経費の軽減に努めているところであります。
次に、今後の対応についてでございます。
法に定められた管理基準に適合していない畜産農家が、いまだ二百二十二戸ありますことから、早急に整備を促進しなければならない状況にあります。
このため県では、家畜保健衛生所が直接農家に出向きまして、それぞれの飼養規模や経営意向などを十分に踏まえまして、施設の整備水準や処理方式、補助事業の活用などについて指導を行い、法が定める来年十月末日までに整備が図られるよう関係機関・団体と一体となって取り組んでまいります。
以上でございます。
29 ◎菊谷警察本部長 登壇=警察署の再編整備問題についてお答えをいたします。
まず、警察署の再編整備検討に至った経緯についてであります。
最近の治安情勢は全国的には平成十四年の刑法犯認知件数が二百八十五万三千七百三十九件と七年連続で戦後最多を記録し、一方で刑法犯検挙率が二〇・八%で過去最低の水準となるなど、いわば危険水域の状況にあります。こうした情勢は、本県におきましても同様でありまして、悲惨な交通事故を含めて県民の日常生活に多大の不安を抱かせているところであります。
他方、警察署の業務負担は増加の一途をたどる各種犯罪の捜査、相談業務の増加等により、一層深刻な状況にあります。
こうした厳しい治安情勢に的確に対応し、県民の安全で安心な暮らしを確保していくためには、限りある警察力を効率的に運用していくことが極めて重要であると認識しているところであります。
県警察では平成十二年九月に警察本部長以下各部長で構成する警察改革推進委員会等を設置し、同委員会等において警察改革に伴う検討の一環として警察力の強化を目的とした組織の合理化及び警察署の再編整備について検討を重ねてきたところであります。
全国的には議員御指摘のとおり、京都府警察等が警察署の再編整備について検討していることは承知いたしております。こうした府県におきましても、本県同様、厳しい治安情勢にあることに変わりはなく、限られた体制の中で警察力を最大限に活用するために警察署の再編整備等について検討しているものと考えております。
二つ目の警察署の再編整備検討の具体的な内容についてということであります。
再編整備は治安情勢の変化に的確に対応し、県民が安全で安心して暮らすことができる地域社会を実現するため、警察力の充実強化を最大の眼目として実施するものであります。
限られた体制の中において警察力を最大限に発揮させるためには、警察署の再編整備は避けて通れない重要な問題と認識いたしております。
現在の十六警察署体制は、昭和二十九年、現行警察法が施行された当時に確立し、以降変更されておりませんが、近年の居住実態、社会情勢、治安事象等の変化を総合的に勘案しつつ、その検討を進めてきたところであります。
また、警察署の管轄区域は自治体とも密接に関連するため、市町村合併の動きにも配慮しながら、必ずしも現在の十六署体制にこだわることなく、県下全域の治安維持という視点に立ちまして、最も適切な警察署の配置や管轄区域のあり方について検討しているところであります。
再編整備の具体的な成果としまして、各警察署間の業務負担の平準化を図るとともに、特に署員数が少ない警察署で常態化しております重大事案発生時の初動捜査体制や専従捜査体制の問題、事件捜査や看守、これは留置場勤務員のことでありますが、看守勤務等への転用に伴う交番等の空き時間の問題などについても、できる限り解消させたいと考えておる次第であります。
その一方で、治安の空白や住民サービスの低下を招くことのないよう地域住民の方々の意向にも十分配慮してまいりたいと考えております。
再編整備の時期につきましては、本県の場合、老朽化した警察署が多いことからその建てかえの時期も考慮するなど、中長期的な展望に立って実施をしていきたいと考えております。
以上、警察署の再編整備について申し上げました。議員の御質問に具体的に答え得たかどうか疑問なしとしないわけでありますが、これから警察署協議会の諮問やパブリックコメント手続等を通じまして、地域住民の方々の声にも配慮して進めてまいりたいと考えておりますので、どうか御理解と御支援をよろしくお願いしたいと思います。
30 ◎副議長(留守茂幸君) 暫時休憩します。
午後三時四十四分 休憩
平成十五年九月二十五日(木) 午後四時十六分 開議
出席議員 三十六名
一番 末 安 善 徳 一五番 佐 野 辰 夫 三二番 牛 嶋 博 明
二番 太 田 記代子 一六番 福 島 光 洋 三三番 堀 田 一 治
三番 指 山 清 範 一七番 中 倉 政 義 三四番 池 田 義 正
四番 石 丸 元 章 一八番 竹 内 和 教 三六番 本 山 光 二
五番 峰 達 郎 二〇番 伊 藤 豊 三七番 原 口 義 己
六番 松 尾 真 介 二一番 木 下 治 紀 三八番 吉 田 欣 也
七番 土 井 敏 行 二二番 稲 富 康 平 三九番 篠 塚 周 城
八番 桃 崎 峰 人 二四番 山 口 隆 敏 四一番 宮 崎 繁 則
九番 石 倉 秀 郷 二五番 伊 東 猛 彦
一〇番 増 本 亨 二六番 木 原 奉 文
一一番 瀬 戸 久 司 二七番 岸 本 英 雄
一二番 楢 崎 近 二八番 富 崎 三 郎
一三番 岩 田 和 親 二九番 石 井 秀 夫
一四番 藤 木 卓一郎 三〇番 石 丸 博
欠席議員 五名
一九番 稲 富 正 敏
二三番 緒 方 勝 一
三一番 宮 崎 泰 茂
三五番 水 田 唯 市
四〇番 留 守 茂 幸
地方自治法第百二十一条による出席者
知 事 古 川 康
副 知 事 川久保 善 明
出 納 長 鬼 崎 昭 宣
総 務 部 長 吉 野 健 二
企 画 部 長 満 田 誉
厚 生 部 長 重 藤 和 弘
環境生活局長 古 川 隆 吉
経 済 部 長 坂 井 浩 毅
農 政 部 長 野 口 和 弥
水産林務局長 川 副 正 康
土 木 部 長 川 上 義 幸
公 安 委 員 長 井 田 出 海
警 察 本 部 長 菊 谷 岩 夫
教 育 委 員 長 杉 町 誠二郎
教 育 長 松 尾 正 廣
人 事 委 員 長 蜂 谷 尚 久
人事委員会事務局長 津 山 浩
職務のため議場に出席した事務局職員
議会事務局長 大 西 憲 治
同 副事務局長
総務課長事務取扱 徳 渕 康 憲
議事調査課長 土 屋 清 史
総務課副課長 舩 津 清
議事調査課副課長 樋 口 博 信
同 議事係長 蓮 把 邦 彦
同 議事係主査 三 浦 正 樹
○ 開 議
31 ◎議長(篠塚周城君) これより会議を開きます。
一般質問を続行します。
32 ◎池田義正君(拍手)登壇=九月定例議会の一番最後に質問いたします池田でございます。
まず、県政の今後の方針についてお伺いをいたします。
井本県政と古川県政の相違についてお尋ねをいたしますけれども、二十世紀の最後の大歴史学者と言われておりますトインビーが言いました。二十一世紀に入る前に、二十世紀の末には共産主義が崩壊するだろうというふうに言われました。二十一世紀になれば、資本主義が崩壊するだろうということで、大体私の感じとしてはその方向で行っているんじゃないだろうかというふうに思っております。
それとともに、一九九〇年代はバブルの崩壊がありまして、二〇〇〇年代に入りまして、大体デフレ、不景気の時代になっております。
そうした中で、井本知事は県庁マンの生え抜きとして知事をやってこられましたけれども、古川知事は中央のトップリーダーとして、中央の役職の一番正しい人として中央官僚として佐賀県に入ってまいりました。
この井本県政と古川県政の違いというものを県民の皆さんは非常に重要な課題として思っておられますので、古川知事から見た井本体制、古川体制の相違はいかようになっているのか、お答えをいただきます。
新しいエネルギーについて質問いたしますけれども、可採石油年数はアメリカが大体十年、イランが五十三年、サウジアラビアが五十五年、イラクが五百二十六年、今から石油がとれるようになるというふうになっておりますから、これでイラク戦争が起こっているんじゃないだろうかというようなことも言われております。
そうした中で、二〇一〇年に向けて水素燃料自動車を日本の国内、あるいは外国についても、バス、トラックを中心として大量生産をする時代になっております。これはもう一つから申しますと、水素エネルギーウエーブということで、燃料、あるいはエネルギーの大革命というふうに言われておりますけれども、この水素エネルギーの大革命が将来の佐賀県民に対する影響を古川知事としていかにお考えなのか、お答えをいただきたいというふうに思っております。
それから、県職員の人事と県庁マンのあり方についてお尋ねをいたします。
知事は今回の提案の中にも申されておりますし、一般質問の中でも答弁をされておりますけれども、知事の特別補佐制度の拡充、それからもう一つは、現在部長さんが六名おられますけれども、中央から来られている部長さんが三名で、六分の三が佐賀県から生え抜きじゃない部長さんでございますので、こうしたことが新しい組織人事のことについて、県庁の人たちもこれからの古川体制の組織はどうなるのか、あるいは人事はどうなるのかということで非常に強い関心を抱いておりますので、新しい時代に対応した組織・人事体制について、古川知事として、どのようにお考えなのか、お伺いいたします。
それから、県庁のこれから幹部になろうという人、あるいはなそうという人、こういう方々が県民に対しての研修ということをしていかなければならない、そういう極めて重要な時期に差しかかってきていると思っております。
特に、古川知事は県民の方々との対話を重視するということで非常に強い実行力を持っておられますけれども、それと同じように、これから幹部になろうという人たちが、県民の農林水産業、あるいは商工業、あるいは福祉とか介護、いろんな県民が生活をしている、あるいは県民が動いているようなところに一週間程度住み込みといいますか、行って、そして県民の生の声を聞いていくということが、これからの県政のあり方としては大事ではないだろうかと思っておりますので、幹部研修のあり方について知事のお答えをいただきたいと思います。
それからもう一つは、井本前知事さんの部屋に行くと、パソコンはありませんでした。そして、本が非常に多くありました。今度の、古川知事さんのところに行くと、パソコンがあって、二十一世紀型の努力をされておりますけれども、本がありません。そういう面から申し上げますと、県庁の人たちも県庁内部に本なら本を置いて、そして研修をする、勉強するということも非常に大事なことだろうというふうに思いますので、県庁内部に県庁マンの勉強のために、あるいは意識改革、あるいは柔軟な発想を打ち立てるために県庁内部に図書室、あるいは本の拡充ということをしていかなければいけないというふうに思っておりますので、この点についてもお答えをいただきたいというふうに思っております。
それから、教育委員会についての知事、教育長の判断でございますけれども、警察本部は警察一家として警察の内部からそのまま充実をして上がってこられますけれども、県庁の中の教育委員会というものは、教育委員会の中の職員さんというのは、どうも学校とか教育事務所とか、こういうところといろいろ回転をしながら教育行政の中核としてやってきておられます。もう一つは、教育長は知事の推薦によって県議会で承認をするというような形であろうと思っております。教育委員会委員の任命についても、佐賀県の知事が推薦をして、任命を県議会が承諾するということでございますけれども、今までの県政と古川県政の違いはどうも教育委員会と県の執行体制というものがもう少し話し合いをしながら、県の教育は全体的には県知事にも責任があるわけだからというような方向性が見えておりますので、県の教育委員とか、あるいは教育長の任命のあり方、あるいは県下のそうした教育委員さんとか教育長の任命についての県知事の考え方をお尋ね申し上げます。
それからもう一つは、小規模学校の推進のことでございますけれども、教育行政の中で今一番大きな問題となっておりますのは、高校の再編問題、あるいは中高一貫の問題等で、ある一定の学童、生徒を確保しないと、県の教育行政はうまくいかないというふうに言われておりますけれども、じゃあ逆に言えば、四十人学級が三十人学級にしなければいけないとか、いろんな論議がありますし、チームティーチングで一つのクラスの中に二人の先生がいるということで、例えば、四十人学級であれば、もう二十人学級と同じような形に現在なってきております。
そういう面から申しますと、日本の歴史から申し上げまして、江戸時代の寺子屋の教育があったから、庶民の教育があったから、明治の教育改革につながってきたとか、県の段階で言いますと、佐賀藩の段階から申し上げますと、弘道館、あるいは致遠館、成美高女と、こういうところで文武の充実、それから英語、ドイツ語、フランス語、中国語、こうしたことを佐賀県の藩の名のもとにおいて教育をしたからこそ、今日の近代日本を築いた佐賀県人の教育のあり方ということが確立をされてきたというふうに私は歴史で学んできた感じがいたすわけでございます。
そういう面から申し上げますと、佐賀の中で唐津の県立高校の統廃合の問題とか、山間僻地の問題とかいろいろ出ておりますけれども、佐賀県の中にある島でありますとか中山間、かえってこういうところに学校をつくることが、今の世の中の新しい時代に挑戦をする形ができてくるんではないだろうかというふうに思っております。
と申しますのは、私たちが思いますと、これだけ国際化の社会になっておりますので、日本の国家も外国なしには加工貿易立国としてもありますけれども、生きていけない、そういう時代にありますので、例えば、佐賀県の島なら島で、ここの島では英語を教える、ここの中ではフランス語を教える、この山の中では星座のことを教えるとか、いろいろなことを教えることによって佐賀県の教育体制というものが変わってくる気持ちがいたします。
特に教育委員会は、今度のいろいろな予算措置の中で、バスとかを用意しながら県立高校の再編に対応するとかなんとか言われておりますけれども、こういうバスとかなんとかを活用して、山間部なら山間部の中で一カ月なら一カ月、その教育を行っていく、あるいは違うところに二カ月行っていくというような形で取り組むことも必要でありますし、さらにまた申し上げますと、県外からそこの学校の運営をしたいというような方々の講師を招く、あるいは校長先生を招くような形も非常に大事ではないだろうかというふうに思っております。
特に、熊本県の球磨工業高校におきましては、伝統建築コースというような科を持ちまして、ここの科には、例えば、茶室の権威者、あるいは数寄屋づくりの権威者の方、日本文化伝統の、日本の中での第一人者という方々を講師に招いておりまして、この高校が全国的に非常に注目をされておりますので、佐賀県も二十一世紀に挑戦するような教育施設のあり方ということも検討する必要があるんではないだろうかと思っておりますので、お答えをいただきたいと思います。
それから、民間委託活用法でございますけれども、警察力の強化を含めたところでの違法駐車問題検討懇談会が民間で駐車違反の取り締まりをやろうというふうな形になっておりますけれども、こういう民間委託の考え方に対して県当局として、あるいは県警本部としてどのようにお考えになっておるのか、お伺いをいたしたいと思います。
第二点の県と県民のあり方についてお尋ねをいたします。
まず、市町村合併でございますけれども、市町村合併の話があったときに、佐賀県は非常に積極的でございました。マル・バツで申し上げますと、二重丸でございました。今はどうも考え方としては三角ではないだろうかというふうな感じを持っております。
知事の答弁は前向きに市町村合併は大事だからやらなきゃいかんということですけれども、総務部長の答弁はどうも市町村合併をやろうとするけれども、実際的には合併は困難ではないだろうかというふうに話がなされております。
だから、ここは井本前知事と古川新知事のリレーでいうと、バトンタッチが少々まずかったんではないだろうかと、こういう感じがいたしております。だから、これだけの市町村合併の当初の枠を組んだわけですから、例えば、杵島六町、鳥栖三養基、佐賀市郡とかいろんな合併がありますけれども、もう一回、担当の市町村課長じゃなくて、総務部長とか、あるいは知事が枠をどうするのかということで、直接にその判断をしたり、あるいは指導をするような機関が必要であろうというふうに思っておりますので、そういう面での市町村合併に対する現状、あるいは今後の取り組み方についてお伺いをいたしたいと思います。
それから、県土の都市計画についてお伺いをいたします。
やはり佐賀県内は均衡ある県土の発展ということをしていかなければならないというのは当然のことだろうと思っております。そういう中で、現在、都市計画法が行われております地域の中での市街化区域の拡大というのが非常に困難であるということで、一つは大きな問題が出てきているというふうに思っております。
それから、都市計画の線引きをしていない地域が開発が進み過ぎる余り、後でのインフラ整備とかいろんなことで問題が非常に多くなってきて、少しは制限をした方がいいんではないだろうかというふうに言われております。
それからもう一つは、執行部の答弁にありましたとおりに、都市計画の線引きの問題で、市町村合併がどうもおかしくなってきたというのが一つの大きな実態ではないだろうかと思っておりますので、県がこの都市計画について、指針を示すべきだと思っております。そして、市町村に対して強く指導をする必要があろうというふうに思っております。市町村が独自にいろんなことをされることは自由でございますけれども、やはりこの都市計画の決定権というのは、県にあるんじゃないだろうかと私は思っておりますので、この都市計画の問題、あるいは県土の均衡ある発展の問題についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたしたいと思います。
第三点は、県民の食糧問題についてでございます。
農業問題については今答弁があったり、質問があっておりますから、農産物の安全対策としてどのようにお考えなのか、お伺いいたします。
それからもう一つは、県民の方々の口の中に入る水でありますとか、食糧の問題でありますとか、こういう問題を私たちはもう少し安全という面から考えていかなければならないというふうに思っております。執行部にいろいろ質疑の段階で話をしておりますときに、どうも難しいんじゃないだろうかというふうに言われておりますけれども、群馬県ではわき水が出てきている、二十六のわき水に対して本当に飲んで安全なのか、おいしいものなのか、これをデータを示して、数値を示して群馬県民に与えていくということでございますから、佐賀県においては水の問題も当然でございますけれども、加工食品でありますとか、ジュースとか、いんろな県民の方々が口にされるものをデータ化をして、すぐ行きやすいというような、扱いやすい、気軽に検査が受けられるような検査体制の拡充を図るべきだと思いますけれども、執行部としてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
第四点は、産業振興についてでございます。
県産材の活用につきましては、私たちは県産材の活用を図るという面と、森林の保全、あるいは環境問題の展開という面からも県土の森林の保全というものは必ずしていかなければならないわけでございますけれども、じゃあ、県土の森林の保全をどうするのか、あるいは県産材をどのように活用するのか、間伐材等についてどのような対策をとろうとするのか、お伺いをいたします。
それから、二番目に家具製造業の振興でございますけれども、現在は全体的な不況体制になっております。この不況体制に加えて、今の家具業界のニーズの多様化が非常に多くなりまして、さらに不況が深刻化をいたしております。
それとともに、今回では外国製品が非常に数多く日本の中に入ってきておりまして、家具業界は有田の窯業とともに非常に不況産業となっておりますので、県の方で技術指導はもちろんでございますけれども、いろんな資金援助等を含めた人的、あるいは体制的な援助体制、指導体制ということを築いていくべき時期に差しかかってきているというふうに思っておりますので、家具振興についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
それから、ノリの協業化でございますが、有明海の生産安定のためにノリの協業化は必要でございます。協業化の現状と将来についてどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
五番目にみどりの樹木の増加について質問いたします。
県土に対する緑化対策でございますけれども、佐賀県は日本一植林率の高い県でございます。そういう植林率の高い佐賀県の緑に対する理解力で、今度は中山間から平野部に対しての緑の樹木の選定、あるいは植樹についてどのようにお考えであるのか、お伺いをいたします。
それからもう一つは、道路の緑化でございます。
道路の緑化で私たちも視察とか行きますけれども、山形県ではサクランボ、あるいは青森県ではリンゴ等が街路にありますし、道の横の水田のところには草花を花壇みたいにして一メートルか二メートルつくっているところが非常に多うございます。
こうした面で、私たちはもう一回考えていく必要があろうと思いますので、その点での答弁をお願いいたします。
特に、今は歩道が、昔は一メートル内外であったのが、今三メートル前後になっております。この歩道の中で、県庁の横にあります貫通道路はイチョウの木ばかり、どこかに行くと、道路の起点から終点までハナミズキであるとか、こういう形になっておりますので、歩いていく人たちが少しは気楽に梅の花から桜の花、桃の花とか、こういうふうに見れるような形での植樹のあり方、街路樹のあり方も必要ではないだろうかと思っておりますので、この点についての知事の考え方をお答えいただきたいと思います。
それからもう一つは、学校の中にも植樹をすることが非常に児童生徒の育成のためにも大事であろうと思っておりますので、この点についても答弁をお願いいたしたいと思います。
それから、緑の樹木の増加の最後でございますけれども、九州自然歩道は現在二千六百キロメートルあるわけでございます。その中で佐賀県は百八十六キロメートルあるわけですけれども、これが全国的にできておりますのは、自然でありますとか、あるいは歴史・文化体験というものを国民、県民の皆さんがすることによって、日本の歴史、あるいは今後の将来に対する活力がわいてくるということで設定をされております。
特に、この自然歩道と申しますか、九州自然歩道もそうですけれども、縄文の道みたいな感じになっておるような気持ちがいたしております。
佐賀県で申しますと、自然歩道に沿った基肄城跡の歴史的なものがありますし、手前の神埼郡に入りますと吉野ヶ里、佐賀郡に入りますと古湯の温泉街、その中には斎藤茂吉とか、いろんな方々が逗留をしたような形の歴史的なこともございます。それが多久に行けば多久聖廟、有田に行けば有田の陶器とか、こういうことが九州自然歩道の側面の中にあるわけでございますので、こういうことは今から先、歩くことが非常にブームになってきておる時代でございます。そういう中で、九州自然歩道の中にあるところの案内板のあり方、もう一つは女性も非常に多く歩かれるわけでございますので、トイレの設置のことも考えていくべき必要性があるんではないだろうかと、このように思っております。全体が有明佐賀空港におりて、そして九州自然歩道の佐賀県側を歩いてみようというふうな、そういう気持ちになれるような整備のあり方とか、観光広報のあり方というものも検討する必要があるんではないだろうかと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
それから、六番目に有明海の再生についてでございますけれども、河川クリーク等の水質の浄化対策、また、漁場環境対策というものは今後どのようにお考えになっていくのか、お伺いをいたします。
最後に教育問題でございます。
県立高校の再編整備計画について、今後どのようになっていくのか、あるいは中高一貫教育の現状と今後の見通しについてどうなっていくのか、お答えをいただきたいと思います。
教育問題の最後でございますけれども、将来を見据えた教育についてお伺いをいたします。
と申しますのは、この前、九月二十二日に佐賀新聞の読者の声の欄に「高校生採用で残念なこと」ということで、唐津市の藤元秀幸さんが投稿されております。この人は会社経営の五十七歳の方でございますけれども、はしょって申し上げますと、県内就職は四人に一人だと。ここ数年間、積極的に高校生の採用に心血を注いできた。建築技術の伝承と若年技能者の育成に危機感を抱き、自力でできることはということで、前向きな生徒の採用を継続していると。しかし、大多数が二、三カ月でわが社を去っていくというふうに言われています。それは、こんなに体がキツイとは思わなかった、自分には合わない、などの理由ということになっております。高卒で入社してくる新人の持つ価値観が、いかに幼稚で短絡的か。いかに我慢と辛抱ができないのかというふうに書いてあります。そして、一番最後には「入社後に初歩的なあいさつなどを教える余裕が、零細企業にはもうない」というふうに会社経営の方が書いておられますけれども、私たちはこれほどまでにないにしても、学校の生徒たちが卒業して、就職をするというときに、やはり最低あいさつぐらいはこういうふうな新聞の中に言われないぐらいのことはしなければいけないと思いますけれども、この新聞論調も含めた形での将来を見据えた教育について返答をいただいて、質問を終わります。(拍手)
○ 時 間 延 長
33 ◎議長(篠塚周城君) 時間を延長します。
34 ◎古川知事 登壇=池田義正議員の御質問にお答えします。
まず、井本県政と古川県政の違いでございますが、井本前知事は県職員時代も含めて、半世紀以上県政に携わってこられました。いわば佐賀県政の生き字引でもあり、いろんな経験をされておられました。佐賀県のことについては、だれよりも一番詳しく知っておられたということを佐賀県政の発展のために尽くされたということであろうかと思っております。
一方、私は二十九年間、佐賀県から離れておりましたが、その間、四つの県、そしてまた、国、時には外国でいろんな仕事をさせていただき、外から佐賀県を眺めておりました。そのようにして、私なりに培ったものをすべて佐賀県の発展のために尽くしたいと思っておりまして、何とかして佐賀県をよりよく発展させたいという気持ちは、井本前知事と同じだろうと思っております。
次は、新エネルギーについてでございますが、御指摘がありましたように、私自身もこれからは水素社会というものが一つのテーマになるであろうと思っておりまして、重点実施項目の中でも、平成十五年の十二月までに水素の製造や、ほかの新エネルギーに係る県内の技術や応用できる分野についての調査を行う旨、明らかにしております。
具体的にどうしていくという方策はまだ明らかには、まだそこまでの段階には至っておりませんが、これからの新しい分野としての水素社会への対応というものについて、何ができるか、今後検討してまいりたいと考えております。
次に、県職員人事と県庁職員のあり方についてでございますが、まず新しい組織・人事体制についてでございます。
これまでは、ややもすれば国が決めたことを実施することが県庁の大きな役割という部分もございましたが、これからは県民が何を必要とするかということを考えて実現すると。しかも、それをより効率的にむだなく実施することが必要になると思っておりまして、このためには創造的な政策形成能力や県民のニーズに基づいて、予算、人員など限られた経営資源をいかに配分して実現していくかという経営感覚が求められているものと思っておりますし、あわせて県民が何を求めているかというところをきちんと把握する能力が求められていると考えております。
幹部職員の研修について、現場の感覚をもっと身につけさせるべきではないかというお尋ねでございますが、私も同じように考えております。現時点におきましても、管理・監督者行政現場体験研修などを行っているところではございますが、単に体験をしたということだけをもって成果とするのではなく、その結果がどうだったかということを本人にも伺い、例えば、その受け入れをしていただいたところにも聞くなどして、より効果の上がる研修にしていただくとともに、この目的が限られた予算、人員などの経営資源を自分の判断と責任で配分し、マネジメントしてもらうという、いわば管理型の経営から自立型の経営に変わっていくための管理者をどう育てていくかという観点から、今後とも充実をしてまいりたいと考えております。
庁内図書室の設置についてでございます。
私も職員のそういう教養ないし専門性を高める場は必要であると思っておりますが、職員専用のものをつくるということはなかなか難しい部分もあろうかと思います。ただ一つ、今後検討に値するかもしれないと思っておりますのは、議会の図書室についてでございます。現在、一階にございまして、教養分野から専門分野に至るまで非常に幅広いものの準備がなされております。
議員におかれては、活発な利用がなされているようではありますが、そういう本来の利用の邪魔にならないという限定はありますけれども、そういったものをもっと活用することによって、職員自身の勉強にもなるのではないかということも思っておりまして、この点については、今後研究をしてまいりたいと考えております。
次に、教育委員会のあり方についてでございます。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づきまして、現在選任がされておりまして、昨年の一月十一日に一番新しく改正された地教行法によりますと、「委員の年齢、性別、職業等に著しい偏りが生じないように配慮するとともに、委員のうちに保護者である者が含まれるように努めなければならない」とされております。この趣旨にのっとり、今後教育委員の人選に努めてまいりたいと考えております。
次に、小規模校における教育についてでございます。
確かに、江戸時代においては、藩校においてさまざまな特色ある教育をしておりました。現在、文部科学省の指導下にある県立の諸学校におきましては、一定の指導内容について限界はございますが、そういう小規模校なり、またお話のあったような期限を区切ったようなセミナーなどで今後の佐賀県を担っていく人材を育てていくことは、極めて重要であると思っておりまして、こうした人づくりを大切にする風土をしっかり受け継いでいかなければならないと考えております。
次に、民間委託についてでございます。
民間委託については、限られた人員で、効率的な行政運営を行うとともに、県民の協働を進める観点からも必要であると思っております。
NPOや民間の方がより効果を発現できるもの、また、必ずしも県や県の職員が行う必要がないもの、そういったものについて積極的に委託、移管を進める必要があると考えております。
特に、警察については、政令で警察官の定数が定められている中で、効率的な運営を行うために、警察官でなければできない業務なのかどうかということを再点検し、民間委託等を活用することを検討していただきたいと考えております。
35 ◎吉野総務部長 登壇=市町村合併に対する県の取り組みについてお答えを申し上げます。
県内の合併協議会では、現在、各種合併協定項目の調整、あるいは市町村建設計画の策定に取り組まれているところでございますが、新市の事務所の位置、あるいは新市の名称など、それぞれ市町村の利害に深くかかわるような事項について、調整が難航している状況が、最近、協議が進む中で顕在化をしてきております。
合併協議が本格化すれば、それぞれの立場や利害がぶつかることもありまして、さまざまな調整が必要となってくるわけでございますが、市町村合併は、将来のまちづくりや住民の生活に大きな影響を持つものでございまして、将来を見越して、それぞれの合併協議の場において、今後、工夫と譲り合いの姿勢をもって協議、調整を行っていただきたいと考えております。
次に、県の対応についてですが、今回の合併は当事者でございます市町村の自主的な取り組みが基本であり、地域の住民の意向を踏まえた市町村の自主的な判断を大切にしなければならないと考えております。
同時に、県といたしましても、厳しい財政状況の中、市町村が基礎的自治体として行政基盤を早急に整備していく必要がございまして、市町村合併が地域の将来に与える影響が大きいことから、財政措置の適用のある合併特例法の期限内の合併実現に向けまして、市町村の自主的な取り組みを支援してきたところでございます。
今後とも、県といたしましては、法期限内の合併に向けまして、財政的支援や人的支援を行いますとともに、情報提供に努めまして、合併機運の醸成を図ってまいりたいと思っております。
なお、協議が難航している場合には、市町村との連絡を密にいたしまして、共通の理解のもとに協議が進められるよう、県としても適切な助言等に努めまして、このようなことに積極的に対応していきたいと考えております。
以上でございます。
36 ◎重藤厚生部長 登壇=県民の食品の安全対策についてお答えを申し上げます。
県民や営業者が気軽に飲料水やジュースに含まれる主成分などの相談を受け付けてくれる体制を整備すべきだという御意見でございました。
県といたしましては、食品や飲料水に関します相談につきましては、県内全保健所──五カ所でありますけれども──に食品衛生監視員及び栄養士を配置いたしまして、常時相談や苦情に応じているところでございます。
また、食品や飲料水の検査につきましては、県内の三つの保健所及び衛生薬業センターで行っておるところでございます。そのほか、水道水や食品衛生法の指定検査機関であります、公益法人であります財団法人佐賀県環境科学検査協会でも検査を行っておるところでございます。
いずれにしましても、食品や飲料水につきまして、保健所などに県民の方が気軽に相談いただけるよう、県民へ周知を図ってまいりたいというふうに思います。
また、そうした相談を受ける中で、適切な検査項目など、検査体制の充実についても、ニーズを把握する中で対応を研究してまいりたいというふうに思っております。
37 ◎坂井経済部長 登壇=産業振興についてのうち、家具製造業の振興についてお答えいたします。
本県を代表する地域産業の一つであります家具製造業を取り巻く経営環境は極めて厳しい状況にあると考えております。このような厳しい状況の中で、本県の家具製造業の振興を図っていくためには、何よりも消費者の視点に立った製品開発などに取り組むことが必要であると考えております。
例えば、高齢化社会等に対応いたしましたバリアフリーやユニバーサルデザインの製品開発、また、住宅空間の制約、生活空間の変化等によります大型家具の需要低下や、消費者嗜好の多様化などのライフスタイルの変化に対応いたしました製品開発、そういった消費者のニーズに的確に対応していくことが必要であると認識いたしております。
このため、県では諸富デザインセンターを中心として、産地企業のニーズに対応した研究開発や技術指導などを行うとともに、新製品開発に対する資金の助成などを行ってきたところでございます。
また、こうした支援に加えまして、家具産地を取り巻く環境が厳しさを増していることから、諸富家具産地の企業や組合、県、町等が一体となった組織を早急に立ち上げ、産地や企業が抱えるさまざまな問題、課題等を抽出、整理するとともに、問題解決のための検討、産地企業などからの相談に対する指導、助言等を行い、産地の維持、再生を図っていきたいと考えております。
いずれにいたしましても、厳しい状況に置かれている本県家具製造業の活性化に向けた産地の取り組みに対しては、今後とも町や関係機関とも十分連携をとり、できる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
38 ◎野口農政部長 登壇=県産農産物の安全確保についてお答えをいたします。
県産農産物の安全性を確保するためには、農薬の適正な使用を推進していくことが極めて重要であると認識をいたしております。
このようなことから、県では農薬の適正使用の周知徹底とその実践を図るために、市町村や農協等の指導者に対する各種研修会の開催を初めといたしまして、県内で発生する主要な病害虫の防除方法等を取りまとめました「防除のてびき」についての農協の営農指導員等に対する説明会の開催や、全農家に対する啓発チラシの配布、さらに農作物の栽培履歴を明らかにするための農薬使用状況等の記帳を推進するなどの取り組みを進めているところでございます。
また、ことし五月からは県農業技術防除センターにおいて、無作為に選んだ農家の圃場から農産物等を採取し、無登録農薬が使用されていないかどうか、登録農薬が適切に使用されているかどうかを確認する残留農薬分析調査を実施いたしております。
さらには、農薬の使用を減らした農産物の生産拡大を図るために、国の有機食品の検査認証制度や県独自の特別栽培農産物認証制度の普及を図りますとともに、エコ農業の推進に取り組んでおります。
今後とも、市町村や農業団体等と一体となってこのような取り組みの一層の強化を図り、消費者ニーズに即した安全・安心な県産農産物の生産供給に努めてまいります。
以上でございます。
39 ◎川上土木部長 登壇=県土の都市計画についてお答えいたします。
県土の均衡ある発展を図り、魅力あるまちづくりを行うに当たって、都市計画の役割は非常に大きいと考えております。
特に線引きは市街地の拡大の可能性が高い中で、無秩序な市街化を防止するなど、土地利用を考える上で有効な手段と考えております。
佐賀県は、市街地の規模が小さく、かつ分散化しているのが特徴となっており、線引きは県土のごく部分的な区域での適用となっているのが実態であります。
現在、市町村合併を契機といたしまして、広域的な範囲での土地利用のあり方の議論がなされております。その中には、都市計画区域の指定されている区域と区域外が混在化しております。
今後、広域的な範囲で望ましい土地利用を具体的に考えるに当たりましては、都市計画法だけでなく、農振法など他の法律とも連携し、総合的な検討が必要と考えております。
このため、関係部局と連携を図りながら、まずは県全体の土地利用のあり方について、基本的な検討を行うとともに、今後、都市計画区域の指定や線引きなどについても、県の基本的な考え方やその進め方について整理していきたいと考えております。
40 ◎古川環境生活局長 登壇=九州自然歩道と河川等の水質浄化対策についてお答えいたします。
まず、九州自然歩道についてでございます。
県内におきます九州自然歩道は、西有田町の栗の木峠を起点に基山町の基山を終点としておりまして、先ほど御指摘がありましたように、全長百八十六キロメートルとなっております。年間約三十万人の方々が利用されております。
これまで、快適に安心して利用いただくように、木橋や木桟道の整備を初め、案内板等の設置、利用マップの作成等を行ってきたところであります。
御指摘の案内板でございますけれども、案内板や標識等は全部で七百七十二基、それからトイレにつきましては、自然公園内に三十一カ所配備されております。ただ、利用マップにつきましては、関係市町村の観光窓口や登山用品店、さらには県福岡情報センター等に配布し、利用していただいております。
先ほどいろいろと御指摘がございました施設の整備とあわせまして、例えば、近くの史跡や観光施設等と組み合わせたモデル周回コースの設定など、利用者の視点に立ったマップの充実等を図りながら、さらに利用促進を図ってまいりたいと考えております。
次に、河川等の水質浄化対策でございます。
有明海に流入する河川の水質状況は、下水道等の整備などの生活排水対策を初め、工場、事業場に対する法律や条例による上乗せ基準設定などの厳しい排水規制により、生物化学的酸素要求量──BODの環境基準の達成率は九一・八%と良好な状態にあります。
しかしながら、農業用の用排水路やクリークにつきましては、都市化の進展や生活水準の向上に伴う生活様式の変化等により、水質の悪化や景観上の問題が懸念されております。
このため、まず生活排水対策を重点的に進めていく必要があります。これまで下水道等の整備促進を図ってきたところでありますが、その施設整備率は、県全体では平成十四年度末は五〇・二%と、全国平均を下回っております。整備率の目標を平成十八年度には六二%を達成するよう、施設整備を推進していくこととしております。
さらに、県民一人一人が地域の水環境を守っていくことが大切でありますことから、有明海に流入する筑後川、嘉瀬川、六角川、塩田川の主要四水系ごとに国、県、市町村等で水質保全対策協議会を組織し、流域住民と一体となりまして、クリーク等の河川清掃、台所での水切りネットの使用でありますとか、油のふき取り、洗剤の適正・適量使用などの普及啓発や実践活動を行っているところでございます。
県としましては、今後とも関係機関、関係市町村と連携を図りながら、また県民の理解と協力を得ながら、生活排水対策等の施策を積極的に推進することにより、地域の水環境の保全、ひいては有明海の環境保全に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
41 ◎川副水産林務局長 登壇=産業振興についてのうち、まず県産材の活用対策についてお答えいたします。
県産材の活用対策につきましては、これまで学校や福祉施設などの公共施設の木造化や内装の木質化に取り組むとともに、土木工事につきましても、間伐材を使った河川の護岸工事や林道ののり面工事などへ積極的な利用を図ってきたところでございます。
また一方で、県民の方々に木のよさを知っていただくためのフォーラムや講習会の開催などを通じまして、木材のよさの普及啓発も進めてきたところでございます。
今後、全庁的な取り組みといたしまして、より一層県産材の需要拡大を進めるため、今年度、佐賀県産木材利用推進委員会を設置いたしまして、公共施設や公共事業への県産材利用をさらに推進することといたしております。また、新たな需要開拓策として、事務机や家具の分野におきましても、県産材を用いた新たな商品開発について、先日、研究会を発足させるなどの取り組みも始めたところでございます。
一方、県産木材の供給体制の整備を図るため、本年度から伐採から加工までの生産履歴を管理し、安全・安心な天然乾燥した県産材を県民に提供する、「顔の見える『さがの木』流通促進事業」に取り組んでいるところでございます。
この天然乾燥した県産材の利用を素材生産を担う森林組合などの川上側と、それを加工利用する木材業界や建築業界などの川下側が連携して進めることにより、県産材需要が最も期待できる個人住宅を初め、公共施設への利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
県産材の需要を拡大することは、林業生産活動を活性化し、森林整備の推進にもつながることから、今後とも関係部局や団体等と密接に連携しながら、県産材のなお一層の需要拡大に努めてまいりたいと考えております。
次に、ノリの協業化についてでございますが、ノリ養殖の協業化につきましては、生産コストの削減や労働力の軽減等に極めて効果が大きいことから、県といたしましては、平成七年度から積極的に推進してきたところでございます。
これまでの実績といたしましては、平成十四年度までに三百四十三世帯で七十五グループ、これは全ノリ養殖漁家の約二六%に当たる数字でございますが、これの協業化を図ってきたところでございます。
平成十五年度は三十八世帯七グループの整備に加えまして、今議会におきましてさらに十世帯二グループの協業化の予算をお願いしているところであり、今年度末には三百九十一世帯で八十四グループ、協業化率約三〇%となる見込みでございます。
県といたしましては、ノリ養殖の協業化は、漁家経営の改善、安定化のために極めて重要な施策と考えており、六月に公表した県の重点実施項目の一つとしても位置づけているところでございます。
この協業化に当たっては、人間関係の調整や土地、水の確保、資金調達の問題など、いろいろ条件整備が不可欠でございますが、県といたしましては、当面全漁家の四〇%に当たる五百世帯で百グループの協業化を目標として今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
それから、みどりの樹木の増加についてのうちの県土に対する緑化についてお答えをいたします。
県では、今年度から新たな緑化運動として「さが四季彩の郷づくり県民運動」に取り組むことといたしております。この運動は、これまで実施してきた「みどりの里づくり運動」を昨年開催した第二十六回全国育樹祭を契機といたしまして、さらに発展させ、山間地から里山、平たん地に至るまで広葉樹を主体とした彩りある森林・緑づくりを推進するものでございます。
具体的には、山間地では環境林の整備と森林景観の保全・向上のために、広葉樹の植栽を行うとともに、里山、平たん地では佐賀の原風景と新たな緑空間の創造を図るために、桜堤やクリーク並木など、旧来の農村風景の復活や学校に実のなる木を植栽するなど、地域の特性に応じた季節感あふれる緑化を推進していきたいと考えております。
また、この運動の取り組みの実施に当たりましては、緑化の指針となるさが緑のガイドラインを定めるとともに、市町村にも地域の特性を生かした四季彩の郷づくり五カ年計画を策定していただき、地域住民やボランティアなどと行政が一体となって潤いと安らぎを享受できる四季彩の郷づくりを新たな緑化の県民運動として強力に推進してまいりたいと、このように考えております。
それから、有明海再生についてのうち、漁場環境対策についてお答えいたします。
有明海は、近年、水質や海底の土質の変化、赤潮の頻発や貧酸素水塊の広範囲にわたる発生などが見られ、これが漁場環境の変化に関係していると考えられております。
県では、この環境の変化の原因究明のため、現在、国や有明海沿岸の三県と連携をとりながら、赤潮発生のメカニズムの解明、また赤潮の発生を予測する技術や防除する技術の開発、貧酸素水塊の発生メカニズムの解明など、各種の調査研究を実施しているところでございます。
一方、このような環境変化に対応し、緊急に漁場環境の改善を図る必要があることから、底生生物の増加や浄化機能の向上を目的とした海底耕うんや覆砂事業に取り組んでおります。
具体的には、平成十五年度は海底耕うんを四カ所約二十平方キロメートル、覆砂事業を二カ所八ヘクタール、漁船漁業対策としての漁礁の網がかり除去事業を一カ所実施いたしております。
また、貝類の食害が指摘されているトビエイの駆除事業、さらに漁業者みずからが漁場を守るという立場から、地域住民の方々と一体となって有明海沿岸の一斉清掃事業などにも取り組んでおります。
また、本年十月には国土交通省の環境整備船が配置され、有明海のごみ等の浮遊物の回収に当たることとなっており、有明海の環境浄化が一層進むものと期待をいたしております。
県といたしましては、漁場環境の改善を図るため、今後とも赤潮や貧酸素水塊の発生メカニズムの解明等調査研究を推進するとともに、海底耕うんや覆砂事業など、各種事業にも積極的に取り組むことによりまして、有明海の漁業振興につなげていきたいと考えております。
以上、お答えいたします。
42 ◎松尾教育長 登壇=まず、県政の今後の方針についてということで、教育委員会のあり方についてお答えをいたします。
教育委員は、地域で、あるいはそれぞれ従事している職業や立場を通じて、県民の教育等についての意見や関心の把握、情報の収集などに努めております。また、勉強会や現地視察、市町村教育委員との懇談会などを通じて、県民の教育に対するニーズ、教育行政の意見などを知ることといたしております。
こうした知見をもとに、教育委員会では、さらに知事を初め他の機関の意向等を踏まえ、議題や諸課題について議論、審議を行っているところでございます。
次に、小規模校における教育についてでございます。
少子・高齢化、高度情報化の進展など、今後も大きな社会の変化が予想される中にあって、生徒の能力・適性、興味・関心、進路希望等がこれまで以上に多様化していくものと考えております。
これらに的確に対応しながら、生徒にとって望ましい学習環境、教育環境の整備確保に努めていかなければならないと考えております。
こういったことで、学校の規模に関しましては、小規模校についてはどうしても生徒間の多様な触れ合いや生徒同士の切磋琢磨の機会が減少する、あるいは活気に満ちた学校行事の実施や多様な部活動の展開が困難になる、多様な教科・科目の設定や円滑な学校運営に支障を生じるおそれがあるなど、学校の活力や教育効果の面で課題があると考えております。
このようなことから、今後の長期的で大幅な生徒減少や急激な社会の変化に対応して、県立高校の再編整備により学校の規模の適正化を図るとともに、中高一貫教育や総合選択制、定通併置校などの新しいタイプの学校の設置を図るなど、特色ある学校づくりを進めていくことにしているところでございます。
なお、御提案のありました、学校の特色づくりにつきましては、例えば、体験学習をやるとか、あるいはすぐれた技術を持った特別講師を活用する、こういったことをそれぞれの学校で工夫するように指導してまいりたいと考えております。
それから、学校の緑化についてでございます。
学校に木を植えることは、児童生徒の情操教育の面から有効であるとともに、潤いと安らぎを与えることから、子供たちが植樹を行ったり、施設整備として緑化の推進を図っているところでございます。
特に、緑化は花が咲いたり、紅葉したり、実がなったりすることから、児童生徒に自然を敬愛する心を育成し、日本の四季を実感できる情操教育の機会の一つでもあると考えております。
県立学校における緑化推進の事業としましては、みどりの里づくり運動の関連事業として、平成十二年度から取り組みを始めまして、平成十二年度は四校、平成十三年度は二校、平成十四年度は二校、十五年度は一校ということで、中庭整備や校地周りの緑化に取り組んでおります。このうち、平成十三年度、十四年度に各一校ずつ中庭の芝張りも行っております。
また、小中学校につきましては、市町村教育委員会が地域の実態に応じて取り組まれているところですけれども、県といたしましても、水産林務局と連携を図りながら、市町村担当者の研修会などの機会をとらえて、緑化の事例や事業の紹介など、緑化についての啓発に努めております。
今後とも、学校の緑化推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、高校再編整備計画についてでございます。
まず、見通しについてでございますが、県立高等学校再編整備第一次実施計画につきましては、昨年十月の公表後、県教育委員会において改めて検討し、ことし七月に検討結果の取りまとめを公表したところでございます。
今後、この検討結果に基づきまして、計画を進めるものについては、新高校整備推進委員会を立ち上げ、新高校の教育内容等の具体的な姿や課題への対応策などについて検討を進めることにしております。
また、継続検討としている専門高校グループにつきましては、新高校整備推進委員会で新高校の具体像について検討するとともに、あわせて農業科や家庭科に対するニーズの検証、配置のあり方等について、さらに調査検討を行うこととしております。
そして、この調査結果等を踏まえて、遅くとも平成十六年度中に結論が得られるように努めてまいりたいと考えております。
さらに、この新高校の教育内容、あるいは必要な情報提供や説明、こういったものには十分に努めてまいりたいと考えております。
次に、中高一貫教育の現状と今後の見通しについてでございます。
中高一貫教育につきましては、これまでの中学校、高等学校に加えて、生徒や保護者が六年間の一貫教育も選択できるようにすることによりまして、中等教育の一層の多様化を促進する、そして生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指すものでございます。
佐賀県におきましても、平成十四年度に太良高校と地元中学校の間で連携型中高一貫教育を導入しました。そして、ことし四月には県立致遠館中学校を開校しまして、致遠館中学校、致遠館高校で併設型中高一貫教育を開始したところでございます。
中高一貫教育校では、六年間を見通した教育指導に加えまして、地域の特色を生かした体験活動だとか、中学生と高校生が一緒になって活動を行うなど、社会性豊かな人間性をはぐくむ教育の取り組みが行われております。
今後の見通しでございますけれども、県内の残り三学区に各一校、具体的に申し上げますと、平成十八年度に唐津東高、これは北部学区です。それから、平成十九年度に東部学区の鳥栖高校と、西部学区の武雄地区の新高校にそれぞれ併設型中高一貫教育を導入することとしております。
次に、将来を見据えた教育についてでございます。
今日、国際化、情報化など社会の状況は大きく変化しております。このような時代をたくましく生き抜くために、時代の変化に対応できる人材の育成が必要とされております。
このため、学校教育におきましては、基礎的、基本的な知識を踏まえまして、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力、すなわち生きる力の育成を図る教育活動を行うことが重要であると考えております。
新学習指導要領における総合的な学習の時間の導入、あるいは高等学校における新しい教科「情報」の必修化などもそのような教育活動のより一層の充実を図るためのものというふうに認識しております。
このような教育のあり方の変化の中で、小中学校では教育目標として他を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性の涵養や生涯にわたって学び続ける基礎としての確かな学力の習得、さらには健やかな身体の育成などを目指しております。
また、高等学校におきましては、小中学校の基礎の上に立った創造的な知性と豊かな情操、そして健康と体力のバランスがとれた人間の育成とともに、社会の変化に対応できる人材の育成を目指しております。
このようなことを踏まえまして、各学校においては子供たちの発達段階に応じて、それぞれの学校が地域の特性を生かして独自の教育目標を定めておるところであります。
御指摘の新聞の御意見にあるような規範や規律は特に大切だというふうに考えております。学校教育ではもちろんでございますけれども、幼少時からの家庭教育、あるいは地域での教育、こういったのが連携して育てていく必要があろうと思います。
教育委員会では、こういった三者の連携がしっかりといくように努力してまいりたいと考えております。そして、職業観、勤労観についても、社会体験など、あるいは進路指導など、こういったことについては低学年から身につけるように指導してまいりたいと考えております。
以上でございます。
43 ◎菊谷警察本部長 登壇=民間委託を活用した警察力の強化についてどう思うかという御質問でございます。
全国と同様に、佐賀県におきましても事件、事故が大幅に増加をいたしており、加えて一昨年のアメリカにおける同時多発テロ以降におけます玄海原発等の警戒、それから県民からの多種多様な相談への対応など、警察業務は年々増加をいたしているところであります。
こうした治安情勢に的確に対応していくためには、先ほども申し上げたとおり、限りある警察力をより効率的に運用していくことが極めて大切であると認識をいたしております。
特に、平成十三年度以降、警察改革の趣旨を踏まえ、警察力の適正配置のための組織の合理化を一層積極的に推進しているところでありまして、また、高齢者を交通事故から守るための交通安全高齢者世帯訪問事業を民間に委託するなど、民間活力の積極的な導入にも配慮しているところであります。
こうした治安情勢は、今後とも続くことが予想され、警察組織の合理化はもとより、県警察として実施可能な警察業務の民間委託については、一層積極的に推し進めたいと考えています。
また、議員御指摘の警察庁が検討しております駐車違反取り締まりの民間委託につきましては、これは道路交通法の改正を伴う全国的な問題でもありますので、制度化を見守るとともに、それにあわせた導入を検討してまいりたいと考えております。
44 ◎川上土木部長 登壇=答弁漏れがありました、失礼いたしました。
道路緑化についてお答えします。
道路植栽は道路改良等にあわせまして、今後積極的に進めたいと考えております。
樹種の選定に当たりましては、地域性や景観への配慮などの観点から、景観検討委員会や地域住民の意見を伺っているところであります。
なお、実のなる樹木には虫や鳥が集まり、鳥の被害が発生する等の理由により、近接の耕作地から反対意見が出ることもあり、また、落葉樹については落ち葉に対する苦情等が発生することも多く、樹種についての要望は地域によりさまざまで、土壌などの自然的条件、樹木の特性、設置する周囲の状況や維持管理までを含め、総合的に検討して選定しているところであります。
維持管理につきましては、議員の御指摘のとおり、地域愛護、道路愛護の観点からも地域住民やボランティアの方々の協力を得ながら、住民に対する働きかけを行い、道路緑化に関する活動に地域住民が参加できる機会を提供し、道路植栽を愛護しながら、地域住民の手で地域の景観をともにつくっていくという機運を高め、県民、行政の連携による緑化活動の推進を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
45 ◎議長(篠塚周城君) 以上をもちまして一般質問を終結いたします。
○ 委員会に付託
46 ◎議長(篠塚周城君) ただいま議題となっております甲第二十九号議案から甲第三十二号議案まで四件、乙第五十八号議案から乙第七十六号議案まで十九件、以上二十三件の議案をお手元にお配りしております議案付託表のとおり、それぞれ所管の委員会に付託したいと存じます。
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47 ◎議長(篠塚周城君) 以上をもちまして本日の日程は終了いたしました。明二十六日は各常任委員会開催、二十七日及び二十八日は休会、二十九日は各常任委員会開催、三十日及び十月一日は特別委員会開催、二日は委員長報告を行います。
本日はこれにて散会します。
午後五時二十二分 散会
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